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パーソナリティ障害とは?① ~生きずらさの原因は…?10種類のパーソナリティ障害とその特徴~
パーソナリティ障害の中でも、奇妙な行動や発言が多く、周囲の人から、
「変わってるな…」
「変な人だな…」
と思われがちなのが「統合失調型パーソナリティ障害」(STPT)です。
本人は苦労していることも多いと思いますが、一方で、常に頭ではいろいろな事を考えているため、発想力に長けていて素晴らしい才能を発揮することもあります。
統合失調型パーソナリティ障害とは?
統合失調型パーソナリティ障害は、英語で
スキゾタイバルパーソナリティ障害とも呼ばれていて、パーソナリティ障害の中ではA群(奇妙な考え方や行動がみられる。統合失調症に近い症状があらわれる)に分類されています。
アメリカでは、一般人口の約4%が、統合失調型パーソナリティ障害に該当すると言われていて、男性の方にやや多くみられるようです。
また、統合失調型パーソナリティ障害患者の半数以上はうつ病を1回以上経験しており、患者の30~50%で、統合失調型パーソナリティ障害が診断された際にうつ病があったとされています。
統合失調型パーソナリティ障害の特徴
統合失調型パーソナリティ障害の特徴を一言であらわすと、
考えが現実離れしていて、対人関係をつくることが難しい
となります。
統合失調質パーソナリティ障害と名前が似ていますが、こちらはまた別のパーソナリティ障害で、症状も全く違います。
主な症状として、
- 奇妙な行動や妄想をする
- 変わった行動や考え方のため、他人と親密な関係を築きにくい
- 被害妄想を抱きやすい
- 服装に無頓着、もしくやその場にそぐわない服装をする
- 迷信、占い、超能力などに影響を受けやすい
- 一見、関係ないようなものに関係性を見出したり、自分に関係があると思いやすい
- 知覚(見る、聴く、感じること)が歪むことがある
などがあります。
統合失調型パーソナリティ障害の人は、話の内容が曖昧だったり、支離滅裂な話し方、突拍子のない発言や行動が目立ちます。
奇妙でユニークな思考や直感が、常に生活や行動に影響を及ぼしています。
また、一見、何も考えていないようですが、実は頭の中の思考は驚くほど活発で、常に頭の中で対話していたり、自分に向かって語りかけています。
それが、独り言や思い出し笑いになって出てしまうため、周囲からは「変わった人」と思われてしまいます。
しかし、通常の流儀からかけ離れていても、統合失調型パーソナリティ障害の人は、自分のスタイルに従い、マイペースに生きていこうとします。
服装やファッションにもあまり関心がなく、体を覆えればいいくらいに考えているところがあります。
精神的・内面的なことが重要なので、外見はどうでもいいと思っています。
アスペルガー症候群で大人になった人と、マイペースな対人関係やコミュニケーションのスタイルが似ている点が多いため、区別がつきにくいケースがあります。
両者の違いは、統合失調型パーソナリティ障害の人が、超越的な存在や非理論的な思考に親和性を持つのに対し、アスペルガー症候群の人は、客観的・観察的なところがあり、実験的な物の見方をする点です。
いずれにせよ、統合失調型パーソナリティ障害の人は、常識的な思考にとらわれず、直感や創意に富んでいるため、新しい発想を必要とするクリエイティブな仕事や、学者や研究者として画期的な業績を成し遂げることがあります。
基本的にマイペースで、周囲に合わせるということが苦手なため、チームワークでする仕事にはあまり向いていません。
そのため、第1度近親者(両親、兄弟、姉妹、または子供のこと)以外に親しい友人や相談相手がいません。
また、統合失調型パーソナリティ障害は、他のパーソナリティ障害と異なり、遺伝的要因が比較的大きいと考えられています。
統合失調型パーソナリティ障害の特徴まとめ
名前は似ていますが、統合失調型パーソナリティ障害は、統合失調症、統合失調質パーソナリティ障害、アスペルガー症候群とは全て違う疾患です。
統合失調症と似た症状がみられますが、統合失調型パーソナリティ障害の方が症状の程度が緩やかで、より重度の症状をあらわす統合失調症とは区別されます。
主な症状として、奇妙な行動や発言が多く、他者と交流したがらない傾向があります。
また、人目を気にしないマイペースなところがあり、服装などに気を配るところがありません。
一方で、思考が独特で、常識を超越しているため、将来への新たな可能性を切り開いたり、技術革新にかかわる仕事や、アーティストのような職業で力を発揮する傾向があります。
参考:
パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか, 岡田尊司, PHP研究所,2004/5/31