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統合失調症ってどんな病気?【11】~早期発見・治療が回復を早める~

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「統合失調症」という病気の名前を聞いたことはありますか?

病名は知っていても実際どんな病気なのか?

知らない方も多いのでないでしょうか。

統合失調症は、100人に一人が発症するとも言われている身近な病気です。

しかし、なぜ統合失調症は起こり、どのような経過をたどるのか?

知っているようで、実はあまり知られていないのが統合失調症です。

「統合失調症ってどんな病気?」では、統合失調症の全体図から、症状、治療などについて詳しく解説していきます。

第11回は、「生活活動に関わる第3の症状『認知機能障害』」の続き、「早期発見・治療が回復を早める」についてみていきます。

目次

早期発見・治療が回復を早める

放置が長いと回復に時間がかかる

これまで統合失調症の症状について詳しくみてきましたが、病気が疑われる症状がみられたときは、できるだけ早期に精神科を受診するべきです。

統合失調症は、明らかに発症したとわかる時点、つまり幻覚、妄想、興奮などの激しい書状が現れる数年前から、病気のプロセスが始まっているためです。

前兆とみられる症状が現れる前駆期には、すでに脳内に委縮などのトラブルが生じていると考えられますが、この前駆期に治療を始めることができれば、発症を予防するか、もしくは遅らせることができる可能性があります。

また、統合失調症は、発症してからはじめの5年くらいで障害が急に進む場合があるとされているため、この間にいかに早く診断を受けて、治療を開始するかが病気の予後を左右するといえます。

当然、症状が現れてから治療を開始するまでの未治療期間は、短ければ短いほど予後がよいことがわかっています。

逆に、未治療期間が長いほど、症状は重症化・慢性化しやすいといわれています。

ただ、統合失調症の症状やあらわれ方や程度は個人差があります。

最も特徴的な症状は幻覚や妄想ですが、幻覚や妄想はそれほど強くなく、陰性症状や認知機能障害が目立つ場合もあります。

激しい陽性症状だけに注目してみると、受診の機会を逃してしまうことがあるので注意が必要です。

統合失調症は、思春期から青年期に発症しやすい病気です。

特にこの時期に何らかの精神症状がみられる場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。

受診を促す説得を

早期の受診がすすめられる統合失調症ですが、実際は1~2年の未治療期間を経て受診されるケースが多いといわれています。

統合失調症という病気は、「最初の受診の難しさ」が、1つの大きな壁になっています。

体の病気であれば、何らかの自覚症状が現れたら、自ら病気を疑い、早々に受診することが多いでしょう。

しかし、統合失調症の場合、多くは本人に病識がありません。

不眠、不安、抑うつなど、前駆期の症状をつらいと感じることはあっても、病気の知識がなければ、それが統合失調症の症状だとは思わないでしょう。

まして、幻覚や妄想が現れたときには、さらに病識を持てなくなっています。

本人自らが統合失調症を疑って受診するのは非常に難しい、ということです。

そこで、最も身近な存在である家族が症状に気づき、精神科の受診をすすめる必要があります。

場合によっては、信頼できる友人、学校の先生、職場の上司などがその役割を担うこともあるでしょう。

しかし、無理矢理病院に連れて行こうとすると、かえって本人を混乱させ、攻撃性や暴力性を高めてしまう場合があります。

精神科へ行くことを隠したり、ウソをついて連れていくのも禁物で、後々の不信感を残すことになります。

今後の治療をサポートしていく↑で、家族との信頼関係は不可欠なので、正直に、根気よく説得することが大切です。

嫌がる本人を説得するのは、つらく、難しいですが、一番つらいのは症状を抱える本人なのです。

病気を悪化させないためにも、一刻も早く適切な治療を受ける必要があります。

家族やその周辺の人は、そのことをしっかり理解し、本人が前向きに治療に取りくめるよう説得し、受診を促すようにしてください。

いい説得、よくない説得

いい説得
  • 「最近、食欲がないみたいだから心配なの」と正直に伝える
  • 「治療すればきっとよくなるわ」とポジティブな情報
  • 第三者を同席させる
よくない説得
  • 「散歩に行こうよ」などとウソをつく
  • ネガディブな情報を多く語る
  • 説得しないで連れ出す
  • 不安そうに伝える
当事者の気持ちに共感しながら受診へ導く

一般的に妄想は肯定でも否定でもない中立的な対応が良いといわれます。

「命を狙われて怖い」という被害妄想に対して、「そうだね、狙われているね」でも「狙われてなんかいないよ」」でもなく、「それは怖いですね」と答えるのが中立的な対応になります。

妄想の内容の真偽には触れずに、気持ちに共感しながら一緒に解決方法を考えていく対応が望まれます。

「隣の家から監視されているい」という被害妄想に対し、「監視のためにまいっていて精神的に不安定な状態では、本当に監視されていないときまで監視されているような気がすることがある。

医師にかかって安定した精神状態になった方が、本当に監視されている時と、そうでない時の区別がついて、証拠がおさえやすくなるかもしれない」と説明して受診をすすめる方法もあります。


 

次回、「自己判断よりまず受診」へ続く


 

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