「統合失調症」という病気の名前を聞いたことはありますか?
病名は知っていても実際どんな病気なのか?
知らない方も多いのでないでしょうか。
統合失調症は、100人に一人が発症するとも言われている身近な病気です。
しかし、なぜ統合失調症は起こり、どのような経過をたどるのか?
知っているようで、実はあまり知られていないのが統合失調症です。
「統合失調症ってどんな病気?」では、統合失調症の全体図から、症状、治療などについて詳しく解説していきます。
第12回は、「早期発見・治療が回復を早める」の続き、「自己判断よりまず受診」についてみていきます。
自己判断よりまず受診
自分が、家族が、疑わしかったら専門医へ
これまで、統合失調症の症状についてみてきましたが、ここからは急性期の治療について詳しく解説します。
統合失調症の治療を始める時期は、早いに越したことはありません。
適切な治療を受けるには、専門家の診断が必要で、その第一歩が「はじめての診断」ということになります。
このはじめての診断をさまざまな理由から躊躇したり、先送りにするケースがみられます。
本人、または、家族が、「何かおかしい」と感じた時は、できるだけ早期に専門医を受診することがすすめられます。
ところが、症状に気づいていても、
「そのうちよくなるだろう」
と自己判断してしまい、受診しないケースがあります。
また、統合失調症の専門医とは、「精神科医」を指すため、「精神科」という名前に抵抗を感じて受診をためらうケースも多いようです。
陽性症状があまり目立たず、陰性症状だけが強い場合、または精神科に抵抗があると、
と考えることがあるかもしれません。
しかし、心療内科は本来、内科であり、精神的要因で現れた身体症状を診てくれる診療科です。
精神疾患である統合失調症の診察には慣れておらず、診断の流れに繋がることがあります。
統合失調症が疑われる場合は、精神科医のいる医療機関を紹介してくれるでしょうが、結果としては回り道することになります。
初めての受診は、すみやかに精神科医がいる医療機関を受診するのが治療開始への近道なのです。
患者さんが受診を拒んだ時は
症状に気づいた家族が、いくら受診するように望んでも、患者さん本人が断固としてそれを拒否する場合があります。
これこそがはじめての受診を難しくする最大の壁といえます。
あまりにも強く拒否されると、家族としても説得に疲れて、「だったら好きにしろ」と投げやりになってしまうこともあるでしょう。
また、暴言や攻撃性が強く出ている時は、家族ですら「もう関わりたくない」「そばに近寄りたくない」という気持ちになってしまうかもしれません。
患者さんがこれまでとは明らかに違う様子を見せた時、家族は不安や恐怖を感じることでしょう。
しかし、患者さん自身も様々な心身の不調と闘っているのです。
家族はまず、落ち着くことが大切です。
患者さんの奇異な言動や行動は、精神疾患によるものだということをしっかり認識してから、受診の説得にあたるようにします。
今抱えている不調は病気の症状であり、治療すれば必ず楽になる、ということを、やさしく、粘り強く説得しましょう。
そして、患者さんが納得した上で、家族と一緒に受診するのが理想です。
しかし、自分を傷つけたり、他人に危害を加える可能性が高い場合は、時間をかけて説得している余地はないため、多くは入院しての治療が必要となります。
本人の同意が得られない場合は、強制的に入院する仕組みもありますが、この場合、その場で同意が得られなくても、のちに入院することが患者さんにとって必ずプラスになるということを伝えるようにしましょう。
受診を促すとき、入院させるとき、治療を続けていく上でも、患者さんにとって家族は最大の味方であり、支援者であることを伝え続けることが大切です。
次回、「病気をつきとめる受診の流れ」へ続く