「統合失調症」という病気の名前を聞いたことはありますか?
病名は知っていても実際どんな病気なのか?
知らない方も多いのでないでしょうか。
統合失調症は、100人に一人が発症するとも言われている身近な病気です。
しかし、なぜ統合失調症は起こり、どのような経過をたどるのか?
知っているようで、実はあまり知られていないのが統合失調症です。
「統合失調症ってどんな病気?」では、統合失調症の全体図から、症状、治療などについて詳しく解説していきます。
第13回は、「自己判断よりまず受診」の続き、「病気をつきとめる受診の流れ」についてみていきます。
目次
病気をつきとめる受診の流れ
はじめは医師の問診から
統合失調症を疑ってはじめて受診する時は、患者さん一人で受診するのではなく、できるだけ身近にいる家族などが同行するようにしましょう。
なぜなら、統合失調症のように病識を持つのが難しい病気を診断する場合、家族からみた客観的な情報が重要な役割を果たすことが多いためです。
診断は、医師との面談(問診)を中心に進められますが、その際、患者さんが家族の同席を嫌がる場合もあれば、家族が本人のいないところで今までの経歴を離したいという場合もあります。
そのため、患者さんの状態やその時の状況に応じて、本人と家族が同席して面接を行う場合もあれば、別々に効く場合もあります。
問診では、患者さんが自発的に受診してきたのか、家族に説得されてきたのかによって、アプローチの仕方が異なりますが、概ね次のようなことが聞かれます。
- どのような症状があるか
- それはいつ頃から始まったのか
- 症状の変化と経過
- 日常生活や社会生活で困っていること
- これまでに相談した機関や治療を受けた医療機関
- 既往歴
- 生活歴
- 家族歴
はじめての受診では、家族も患者さんもかなり緊張されることだと思います。
そんな中で、上記のような質問に、その場で正確に答えるのは難しいものです。
問診をスムーズにするために、家族があらかじめメモを持参するといいでしょう。
はじめての受診で医師から聞かれること
症状について
- 現在、どんな症状がみられるのか
- その症状はいつ頃からはじまったのか
- 症状は変化しているか、また変化した時期
- 過去に別の症状はあったか、またその時期
- 日常生活や社会生活にどんな支障をきたしているか
- これまでに相談した機関、治療を受けた医療機関はるか
- 治療を受けたことがある場合、主治医の見解や治療内容
など
既往歴について
- 首のすわり、初語など発達の遅れ
- 過去にかかった病気
- 現在、治療中お病気
- 手術やケガの有無
- 現在、服薬中の薬
など
生活歴
- 生まれた土地
- 転居の経験
- 乳児期から保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校から学生時代までの家庭環境、友人関係、成績、挫折や失敗などの経験など
- 職歴、仕事の内容、勤続年数、転職事情
- 結婚歴や離婚歴
- 子どもの有無
など
家族歴
- 家族の既往歴、とくに精神疾患の有無
- 自殺者(既遂・未遂)の有無
など
診断を確定されるための各検査
統合失調症は多彩な症状を示す病気です。
統合失調症以外の病気と重なる症状も多いため、診断を確定するためには、他の病気との鑑別が重要になります。
そこで、問診の次に、
- 体温
- 脈拍
- 血圧
などを測定し、必要に応じて、
- 血液検査
- 尿検査
- 生化学検査
- 心電図
- 髄液検査
- 脳波検査
- 脳の画像検査(CT検査、MRI検査など)
が、行われます。
これらの検査の主な目的は、統合失調症以外の病気や原因を除外することにあります。
例えば、
- 脳腫瘍
- ウイルス性脳炎
- 側頭葉てんかん
- 甲状腺疾患
などの身体疾患から統合失調症に似た精神症状が現れることがあります。
これらの身疾患の有無は、能の画像検査や髄液検査でわかります。
その他に、
- 麻薬や覚せい剤などの違法薬物の使用
- アルコール依存
などでも幻覚は妄想が引き起こされることがあります。
また、処方薬の副作用で精神症状が出ることもあります。
これらの有無に関しては、問診や尿検査、血液検査などを合わせて確認します。
一方、抑うつ症状が強く出ている場合は、うつ病など他の精神疾患との鑑別も重要になります。
そこで、近年注目されている検査に「光トポグラフィー検査」」があります。
これは、近赤外線を利用して、活動中の能の血流変化を測定する検査で、
- 統合失調症
- うつ病
- 双極性障害(躁うつ病)
を鑑別する診断補助検査として、2014年から一部の医療機関で保険適応となっています。
統合失調症が疑われる時は、精神的な発達、、知能、人格、認知機能、その他の心理状態などを評価する目的で、いくつかの心理テストを行うこともあります。
心理テストの結果は、知的障害、発達障害、不安障害などと鑑別する際、客観的な資料として参考にします。
次回、「診断には世界基準も参考にする」へ続く