「統合失調症」という病気の名前を聞いたことはありますか?
病名は知っていても実際どんな病気なのか?
知らない方も多いのでないでしょうか。
統合失調症は、100人に一人が発症するとも言われている身近な病気です。
しかし、なぜ統合失調症は起こり、どのような経過をたどるのか?
知っているようで、実はあまり知られていないのが統合失調症です。
「統合失調症ってどんな病気?」では、統合失調症の全体図から、症状、治療などについて詳しく解説していきます。
第17回は、「どのような治療が行われるのか ② さまざまな専門スタッフとの連携・協力」の続き、「治療はどのように行われるのか ③ 病期ごとの治療方針」についてみていきます。
目次
どのような治療が行われるのか ③
病期ごとの治療方針
統合失調症の治療は、薬物療法とリハビリを中心に行われますが、患者さんの病期に応じて方針が立てられます。
前駆期(経過観察)
前駆期に受診されるケースは少なく、受診された場合でも、この段階で統合失調症と診断するのは難しいものです。
そのため、睡眠薬や抗不安薬などを必要に応じて処方すると同時に、統合失調症の可能性も考えながら、定期的な経過観察とストレスを軽減するなどの環境調整を行います。
急性期(症状の鎮静化)
統合失調症を発症すると、幻覚や妄想、興奮といった激しい陽性症状現れます。
急性期の治療では、まず抗精神病薬を用いて陽性症状を鎮静化させます。
症状に応じて睡眠薬や抗不安薬などを補助的に用いることもあります。
また、この時期は日常生活や社会生活の機能も著しく低下していくため、症状がある程度落ち着いてきたら、できる範囲でリハビリを少しずつ進め、社会機能の改善を図ります。
自傷他害がある場合、またはその可能性が高い場合は、入院治療を検討します。
休息期(再発防止サポート)
この時期は、元気がなくなる、意欲がわかないなどの陰性症状が中心になります。
薬物療法を継続しながら、環境調整や精神療法を行い、患者さんのストレスを最小限に抑えて再発を防止します。
また、さまざまなサービスやリハビリを受けて、認知機能障害の改善を図ることも大切です。
回復期(リハビリ・QOL向上)
心も体も安定してくる時期です。
社会生活機能を高め、QOL(生活の質)を向上させるためのリハビリを行い、自立した生活や社会復帰を目指します。
再発防止のため、薬物療法は継続して行います。
次回、「治療はどのように行われるのか ④ 入院が必要になるケース・治療と退院まで」へ続く