「統合失調症」という病気の名前を聞いたことはありますか?
病名は知っていても実際どんな病気なのか?
知らない方も多いのでないでしょうか。
統合失調症は、100人に一人が発症するとも言われている身近な病気です。
しかし、なぜ統合失調症は起こり、どのような経過をたどるのか?
知っているようで、実はあまり知られていないのが統合失調症です。
「統合失調症ってどんな病気?」では、統合失調症の全体図から、症状、治療などについて詳しく解説していきます。
第22回は、「急性期の治療 ③ 通電療法/家族の対応」の続き、「休息期・回復期の心得」についてみていきます。
目次
休息期・回復期の心得
症状が落ち着いても気を抜くのは禁物!
急性期の薬物療法が効いてくると、幻覚・妄想・興奮などの激しい症状が落ち着くため、
「もう薬は飲まなくてもいいだろう」
などと思われがちですが、油断は禁物です。
統合失調症では、多くの場合、急性期の激しい少症状が治まった直後に抑うつが現れます。
エネルギーを消耗しつくした状態に陥り、これを「精神病後抑うつ」といいます。
精神病後抑うつでは、無気力、抑うつ、倦怠感などの陰性症状が現れてきますが、同時にこの時間は、患者さんが現実感を少しずつ取り戻す時期でもあります。
と認識することは、症状から解放された証であり、病識を持つことにも繋がります。
ただ、現実感を取り戻すということは、回復への大きな一歩である反面、厳しい現実に直面することでもあります。
病識を持てたからといって、すぐに前向きに病気に立ち向かえるとは限りませんし、病気になったのは自分が悪いのか、または親のせいなのか、などと思い悩むこともあります。
今後の人生を悲観したり、現実に意味を見出せずに、空虚感や虚脱感に襲われることもあるでしょう。
結果的に、「死んでしまいたい」という思いにかられることも少なくないのです。
激しい症状が落ち着いても、患者さんの心はまだまだ不安定です。
しかし、これも回復への過程の一部であり、薬物療法やリハビリなどの治療を正しく続けることで良くなります。
つらい、苦しい、死んでしまいたいなどの気持ちが強い時は、主治医に相談するようにしましょう。
再発の原因と問題点
統合失調症は、再発を繰り返しやすい病気です。
急性期の症状が治まったあとは、再発にも十分注意しなくてはなりません。
再発の第一の問題は、
ということです。
能がダメージを受けると、脳委縮が進み、その分、認知機能低下の進みやすくなります。
また、再発を繰り返すたびに症状が慢性化して治りにくくなります。
幻覚・妄想は患者さん本人が苦しむだけでなく、周囲も巻き込むことが多々あります。
幻聴に従って他人に危害を加えてしまったり、暴言を吐いてしまうかもしれません。
これらの行動や言動は病気の症状によるものであり、本人が悪いわけではないのですが、一般の人はなかなか理解することができません。
再発を繰り返すことにより、こうしたトラブルを繰り返していると、人間関係や社会生活が完全に破綻してしまうこともあるのです。
このように、、再発は病気の予後に大きく影響するため、休息期から回復期にかけては、「再発防止」が非常に重要な課題になるといえます。
再発を防止する有効な手段といえば、「服薬の継続」にほかなりません。
再発の原因として最も多くみられるのが「服薬の中断」なのです。
まずは、
ということを肝に銘じておく必要があります。
一方、環境の大きな変化や人生の大きな出来事、つまり大きなストレスをきっかけに再発することもあります。
特に統合失調症を発症したきっかけがストレスだった場合は、同じような状況が引き金になる可能性があるので注意が必要です。
再発の2大要因
① 服薬の中断
再発の原因として最も多くみられる
② 大きなストレス
環境の大きな変化や人生の大きな出来事など
再発の予兆に注意
●本人が気づく変化
・夜、眠れない、あるいは眠ってもすぐに目が覚める
・食欲がない
・気分が落ち込み、やる気が起こらない
・周囲の雰囲気が変わった気がする、不安がある
・何でもできる気がする
●周囲が気づく変化
・部屋に引きこもりがちになる
・身だしなみを気にしなくなった
・表情が乏しい、表情が険しい
・食事をあまりとらなくなった
・ひとり言が多い
・話にまとまりがない
・妄想的なことを言う
・幻聴を訴える
次回、「治療は継続して行われる」へ続く