「統合失調症」という病気の名前を聞いたことはありますか?
病名は知っていても実際どんな病気なのか?
知らない方も多いのでないでしょうか。
統合失調症は、100人に一人が発症するとも言われている身近な病気です。
しかし、なぜ統合失調症は起こり、どのような経過をたどるのか?
知っているようで、実はあまり知られていないのが統合失調症です。
「統合失調症ってどんな病気?」では、統合失調症の全体図から、症状、治療などについて詳しく解説していきます。
第32回は、「専門スタッフによる支援」の続き、「患者さんのための支援制度 ① 精神障害者手帳」についてみていきます。
目次
患者さんのための支援制度
精神障害者保険福祉手帳
統合失調症の療養生活が長くなると、経済面や生活面でさまざまな問題が生じてきます。
そこで、医療費や生活費、就労、自立などを支援する公約制度を上手に活用しましょう。
「精神障害者保険福祉手帳」(以下、精神障害者手帳)は、精神障害を持つ人の自立と社会参加を促進するために設けられた制度です。
障害者を対象とする手帳制度は、かつて身体障害者(「身体障害者手帳」)と、知的障害者(「療育手帳」)のみが対象でしたが、精神保健福祉法により、1995年からは精神障害者に対しても精神障害者手帳が発行されるようになりました。
統合失調症のほか、
- うつ病
- 双極性障害
- てんかん
- 薬物・アルコールによる急性中毒
- 発達障害(自閉症・学習障害・注意欠陥多動性障害など)
- その他の精神疾患(ストレス関連障)
などが対象になります(2年ごとに更新)。
精神障害者手帳は、障害の程度によって、1~3級に分かれており、等級に応じてさまざまな福祉サービスが受けられます(後述の「精神障害者保険福祉手帳の申請と利用」参照)。
申請は、居住の市区町村の障害者福祉窓口で行います。
市区町村が独自で行っている優遇措置もあるので、最寄りの担当など愚痴に問い合わせてみましょう。
なお、精神障害者手帳は、統合失調症と診断されたからといって、必ず申請しなければならないわけではありありません。
患者さんの中には、世間体などから手帳を持つことに抵抗を感じる方もいるようです。
ただ、このような心理的なデメリットに対して、手帳を持つことの実質的なメリットは非常に大きいので、不安な人はソーシャルワーカーなどに相談してみるとよいでしょう。
精神障害者保険福祉手帳の申請と利用
申請条件
精神疾患のため、長期にわたり日常生活や社会瀬克に制約(障害)があること
対象となる精神疾患と診断されてから6か月以上経過していること
必要書類
- 申請書
- 診断書
- 本人の写真
- 個人番号カード(マイナンバーカード)、または通知カード
- 身分証明書
申請窓口
市町村の障害者福祉窓口
※申請するのは本人。なお、家族やソーシャルワーカーなどが代行することが可能
主なサービス・優遇措置
- 税制の優遇措置
- 生活保護の障害者加算(1級および2級のみ)
- 医療費の助成
- 公営住宅などへの優先入居
- 交通費の助成
- バス、地下鉄、電車の運賃割引(企業による)
- 携帯電話料金の割引(申込は販売会社へ)
- NHK受信料の減免
など。
※その他にも、自治体や民間団体、民間企業などが独自に行っているサービスや優遇措置もある
次回、「患者さんのための支援制度 ② 所得保障制度」へ続く