日々の生活の中でこんな気持ちになったことはありませんか?
自分が正しいと思うことは、なんと言われても変えられない…
商品を間違えられても、変えてもらうことができない…
自分の意見を通すために、人の気持ちを配慮できない…
このような状況が続くと、心の中に不満が溜まったり、周囲と関係が悪化してしまうなど、結果的にあなたの生活の質を下げてしまいます。
こうしたトラブルを解決し、より爽やかに生きるための方法が「アサーション」です。
お互いにとって心地いい関係を作るために「アサーション」を学んでみませんか?
第20回は、「様々な事例でアサーション⑪ 必要ないものをしつこくセールスされる」の続き、「様々な事例でアサーション⑫ 診察時間が短く、説明がちゃんと聞けない」を解説していきます。
目次
様々な事例でアサーションを確認しよう
ここまで、自己表現には「非主張的自己表現」「攻撃的自己表現」「アサーション」の3つのタイプがあるとご紹介してきましたが、次からは実際にある様々なケースを取り上げ、自己表現についての理解を深めていただきたいと思います。
あなたならどの表現を選び、まだそれはなぜなのか?考えてみてください。
⑫診察時間が短く、説明がちゃんと聞けない
最初からずっと同じ薬を処方されていて、もう2年になりますが、治る気配がありません。
治療法はこれでいいのか?
他の薬を使うことはできないのか?
などを教えてもらいたいのですが、長くて5分程度しか診察の時間をとってくれません。
「症状が変わらないようなので、また同じ処方にしておきます」
で、いつも終わってしまうのですが、忙しそうに思えて詳しいことが質問できないままです。
どうしたらいいのか分からず困ってます…。
攻撃的反応
- ケンカ腰で質問して責める
処方してる薬について、私にもよく分かるように、ちゃんと説明してください!
効いている実感がない薬を飲み続けるなんて、これ以上できません。
こんな無責任な治療はやめてください!
非主張的反応
- 相手に遠慮して質問しない
先生はいつも忙しそうで、診察をすぐ終わらせたい様子だし、質問したくての言い出しにくくて…。
専門家だから無理は言えないけど、待ち時間も長いから他の予定も入れられないし。
どうしたらいいんだろう…。
アサーティブな反応
- 意見を言いながら質問する。
2年も飲み続けているのに効果がないので、他に良さそうな薬や治療法があれば、それを試してみたいと思っています。
先生のご意見を伺わせてください。
…と、丁寧な態度でハッキリ聞いてみよう。
ワンポイントアドバイス
- 患者には質問する権利があります
近年は、医師によるインフォームドコンセントが確立されています。
これは、治療の内容や目的、方法などをきちんと説明することで、患者の権利であり、同時に医師の義務でもあります。
分からないこと、希望などは、聞いたり話し合ったりできます。
医師を煩わせてはいけない、忙しいから聞けない、など「自分の思い込み」によって、質問できない人もいますが、これは患者側の問題であり、遠慮していては、医師にはあなたの心配は伝わりません。
また、他の医師の意見が聞きたいのであれば「セカンドオピニオン」を求めてもよいでしょう。
アサーションは揉め事をなくす方法ではない
ここまで、様々な事例でアサーションを紹介してきました。
あなたは「アサーションを知れば、揉め事がなくなる」と思ったかもしれませんが、アサーションは揉め事をなくす方法ではありません。
むしろ、「揉め事があったときに、それを気持ちよく解決する方法」だと考えてください。
アサーションを知ると、他者にもそれを知ってもらって、アサーティブな反応を期待したくなります。
しかし、誰もがアサーションを知っても、葛藤がなくなることはありません。
なぜなら、私たちは一人ひとり自分の意見や気持ちを持っていて、それを率直に、正直に表現すると、お互いに違う思いや同意できないことが出てくるからです。
自分の思いや意見を素直に言っても、相手が同じ意見を持っているとは限らないので、同意されないかもしれません。
また、お互いがアサーティブであっても、思いが一致しないこともあり得ます。
そんな時、自分が引っ込むと非主張的になり、言い張ると攻撃的になります。
こういう時こそ、アサーションの出番です。
つまり、意見が合わなかったり、葛藤が起こったら、違いを話し合い、理解しあう必要があるのです。
そこでは、まず違いをきちんと理解し合うアサーションを始めましょう。
歩み寄ることができそうなら、お互いに合意できそうなアイデアを出し合い、歩み寄りのポイントを探します。
接点をみつけようとするお互いの姿勢は、関わりを深め、関係をよくすることにも繋がります。
葛藤が起こった時、もし自分の思いが全面的に通らないことを不満に感じたら、それは攻撃的な志向だと心得ましょう。
次回、「アサーティブになるための5つのヒント」、へ続く