日々の生活の中でこんな気持ちになったことはありませんか?
自分が正しいと思うことは、なんと言われても変えられない…
商品を間違えられても、変えてもらうことができない…
自分の意見を通すために、人の気持ちを配慮できない…
このような状況が続くと、心の中に不満が溜まったり、周囲と関係が悪化してしまうなど、結果的にあなたの生活の質を下げてしまいます。
こうしたトラブルを解決し、より爽やかに生きるための方法が「アサーション」です。
お互いにとって心地いい関係を作るために「アサーション」を学んでみませんか?
第25回は、「よりよい自己表現を生み出すためには…『私メッセージ』と『自己開示』」の続き、「よりよい自己表現を生み出すためには…『会話を増やす』」を解説していきます。
目次
よりよい自己表現を生み出すためには
表現には、言葉や言い方といった言語的なものと、表情や態度といった非言語的なものがあります。
両者を組み合わせながら、自分が表現したいことを、その時の状況に応じて適切につかえるようになりましょう。
顔を見ながら直接言葉を交わす【会話を増やす】
日常的な場面で、適切な言葉や伝え方が分からず、戸惑ったことはありませんか?
理由の一つとして考えられるのは、直接かわす会話が減った社会の変化が挙げられます。
アサーションには「適切な言葉」と「言い方」の両面がある
「言葉」を使った表現は、私たちの強力な伝達手段で、また「伝え方」「表現法」という言葉以外の面も重要です。
コミュニケーションにその両方が必要なように、アサーションにも、「どのような言葉を使うか」という部分と、「どのような伝え方をするか」という両面があります。
「いつもこんな状況になると言葉に詰まってしまう」
「この言い方はアサーティブなのだろうか」
など、言葉やその伝え方で躓いたり戸惑ったりした時、どうすればよいのでしょうか。
子ども時代の環境が自己表現の基礎をつくる
言葉やその伝え方を学ぶ最初の場所は、たいてい家庭です。
無口なる両親に育てられた子どもは、家庭内で多くの言語表現に接する機会が少ないため、たくさんの言葉を聞いたり、話したりする機会が少なくなるでしょう。
反対に、おしゃべりな両親の元で育った子どもは、多くの言葉を聞き、たくさんの伝え方を知る可能性があります。
これらの体験から、使う言葉や伝え方が培われますが、子ども時代の環境だけが問題ではありません。
家族以外の多様な人間関係や複雑なやりとりの中でも訓練されるので、家族以外の環境も大切になってきます。
必要にせまられて適切な言葉や伝え方が身につく
例えば、用事がある日に飲みに誘われたら、あなたならどう答えますか?
同僚なら「今日は用事があるので、また誘ってね」
上司なら「せっかくですが、今日は前々から用事があるので行けないのです」
当然、人によって答えはそれぞれだと思いますが、どちらにしても決まった正解があるわけではありません。
私たちは成長した後でも、このように戸惑いを感じる相手や状況、場面に遭遇します。
それでも、こうやって必要に迫られることで、適切でふさわしい言葉や伝え方、表現方法を自分なりに学んでいくのです。
しかし、現在私たちの周辺には、インターネット、電子メールなどの視覚を中心としたコミュニケーションが大幅に増え、一方では電話での会話が減ったように、聴覚を通した交流は少なくなりました。
便利さやスピードを重んじる現代社会では、親しみが込められた日常の挨拶は少なくなっています。
買い物をする時も、コンビニやスーパーを利用し、お店の人とのやり取りが最低限になっていませんか?
このように、人々が直接話し合ったり、要求を伝え合い、お互いの意見を確かめる機会は減少してきています。
現代人は意識的に自己表現の場を避けことができるようになったので、コミュニケーションを学んだり、覚える機会が減り、アサーティブな表現も下手になる傾向がうかがえます。
長電話が切れない、人と違う意見が言えない、頼まれたことが断われない、などという人が多いのもそのためです。
心の中では、よりよい人間関係を望んでいるのに、人との関わりを避けて、表現する力や人間関係を育てる能力も向上しない、という悪循環が生まれています。
しかし、練習を重ね、経験を積むことで、心地よい関係づくりや会話はできるようになるのです。
コミュニケーション力を高めるために知っておきたいこと
- コミュニケーションの現場に身を置いて経験を積む
- 上手な人のやり方を観察するなどして自分に取り入れる
- 失敗は学びの助けと考えチャレンジする
次回、「よりよい自己表現を生み出すためには…『社交的な会話のコツ』と『DESC法』」、へ続く