日々の生活の中でこんな気持ちになったことはありませんか?
自分が正しいと思うことは、なんと言われても変えられない…
商品を間違えられても、変えてもらうことができない…
自分の意見を通すために、人の気持ちを配慮できない…
このような状況が続くと、心の中に不満が溜まったり、周囲と関係が悪化してしまうなど、結果的にあなたの生活の質を下げてしまいます。
こうしたトラブルを解決し、より爽やかに生きるための方法が「アサーション」です。
お互いにとって心地いい関係を作るために「アサーション」を学んでみませんか?
第39回は、「アサーションに関する疑問・対応」の続き、「アサーションと仕事」を解説していきます。
アサーションと仕事
景気の低迷が続き、働く人たちの環境が厳しくなっていますが、その中で職場の無理解や想像を超える激務、過度の責任などで心身の調子を崩す人が増えています。
しかし、このような時代でも前向きな気持ちで働いている人たちもいます。
それには一体何が関わっているでしょうか。
日本の職場でニーズが高まっているアサーション
アサーションは、北米やヨーロッパで女性のための自己表現トレーニングとして取り入れられてきた歴史があります。
その理由として、社会的場面での多様な人間関係が少なかった女性に対し、職場における地位向上、不当な差別、セクシャルハラスメント予防などのために、女性を支援する必要があったためです。
日本でも近年、職場にアサーションを取り入れる企業が増えていますが、その目的は、
- 仕事の現場での人間尊重についてより深い理解
- 一人ひとりの個性と洗剤能力を重視した経営
- 働く人々の創造性と潜在能力の発現により組織への積極的関与
- 仕事を通した社会貢献への自発的な参加
などです。
多くの企業でアサーション・トレーニングが取り入れられるようになってきています。
働く人々の自由な発想や積極的な発言は、より創造的な製品開発や組織運営に繋がります。
そのため、新人研修や中間管理職にアサーションの訓練を実践する企業も出てきました。
また、コンプライアンス(法令順守・社会のルール・企業倫理を守る)を推進する上でも、人権を基礎とした自由でイキイキとした交流が必要です。
アサーションの考え方が生かされた健全な職場は、ワークライフバランスが大切にされて、働く人たちが信頼される環境があり、社内外で信頼性の高い組織であると言えます。
そのような職場は、相互の存在を心に留めていることを伝える感謝、いたわり、励まし、称賛などのプラスメッセージを大切にする職場です。
人間関係をメンテナンスするコミュニケーションが豊かなので、忙しい業務や課題を進めながらでも、ちょっとした言葉かけなどの関わりがあります。
そのため、お互いの状況を感知する、思いやる、情報を共有する、といった繋がりが生まれます。
これが働きやすい職場づくりの基盤になります。
非主張的な部下が攻撃的な夫や父に
一方、競争と成果主義などのプレッシャーで、管理者の攻撃的発現や一方的な命令などが目立つ組織も存在します。
そこでは、
- 説教型の説明
- 詮索型の質問
- 無意識の押し付け
- パワハラ
などが起きています。
それに対して「非主張的な部下」が異論を挟むのは現状ではまだまだ難しい面があります。
半ば諦めの境地で残業や休日出勤を引き受けることも多いでしょう。
しかし、「仕事のため」「家族のため」という言い訳は、実際のところ「仕事や収入を理由に自分と家族の生活を軽視」していることになります。
結果、「攻撃的な」上司の下で働く「非主張的な」部下は、「攻撃的な」夫・父、であるとも言えるのです。
彼らの社会生活は、妻や子どもの忍耐と犠牲の上に成り立っているのかもしれません。
一人ひとりの自己表現を大切にしていない職場は、ストレスの多い職場になります。
その結果、働く人の心身の健康にSOSが出て、時には仕事の現場で責任を負う立場の真面目で有能な人たちのうつ病や突然死となって現れています。
一方、心ある企業は、個人の成長よりも、心身のトラブルの予防のためにも、アサーションを取り入れ、その精神とスキルを学んでいます。
今後もアサーションは、人が大切にされ、人権が尊重される必要がある場では活用され、広がっていくでしょう。
了