日々の生活の中でこんな気持ちになったことはありませんか?
自分が正しいと思うことは、なんと言われても変えられない…
商品を間違えられても、変えてもらうことができない…
自分の意見を通すために、人の気持ちを配慮できない…
このような状況が続くと、心の中に不満が溜まったり、周囲と関係が悪化してしまうなど、結果的にあなたの生活の質を下げてしまいます。
こうしたトラブルを解決し、より爽やかに生きるための方法が「アサーション」です。
お互いにとって心地いい関係を作るために「アサーション」を学んでみませんか?
第6回は、「アサーションとはどういうこと?」の続き、「自分をよく知り、よりよい自己表現を目指す」を解説していきます。
目次
自分をよく知り、よりよい自己表現を目指す
自己表現するためには、自分の考え、気持ちが分かっていることが不可欠です。
自分の分からないことは、表現する気持ちになれないからです。
自分の気持ちを適切に表現するために、ここからは自分のことを知るための方法を試してみましょう。
「20の私」で自分のイメージを探る
あなたは自分のことをどのくらい知っていますか?
自分を知ることは簡単ではありませんが、アサーションをマスターするためには自分について自分自身がよく分かっていることが大切です。
そこで自分をもっと知るために、「20の私」を試してみましょう。
「20の私」
2.私は「 」です。
3.私は「 」です。
…
20.私は「 」です。
「私は……です」という文章を20個書いてみましょう。
内容は自分についてなれ、どんなことでも構いません。
自分について知っていること、思っていることなどを自由に書きます。
書きにくい時は、「あなたは誰ですか?」と聞かれた時に答えるイメージで書いてみてください。
時間がかかってもいいので、思いのまま、自由に書いてみましょう。
それぞれの質問と答えから自分を読み取る
20の文章を書き終えたら、その文章について次のような側面から考えてみてください。
【1】外面的なこと、内面的なことの割合
氏名、男女、職業などの外面的な事実について書いた文章はどのくらいあるでしょうか?
自分の性格、考え方や感じていることなど、内面について書いた文章はどれくらいあるでしょうか?
その割合は、あなたにとってどのような意味があるでしょうか?
【2】人には知られたくないことがある?
人に知られたくないことはありますか?
それをどのくらい正直に書いていますか?
【3】自分の長所と短所の割合は?
自分の長所、短所について書いたものが、どのような割合になっているか比べてみましょう。
【4】現実の自分と理想の自分の割合は?
現実の自分を表現した文章と、自分の憧れや理想を表現した文章の割合を考えてみましょう。
【5】自己紹介をするなら?5つの文章を選んでみる
もし自分を5つも文章で紹介するとしたら、20の文章の中からどれを選びますか?
「20の私」で自分を知る時に気をつけること
「20の私」の解説を読んで、自分について気づいたこと、分かったことがあったでしょうか。
ここでは、その答えや傾向について、心に留めておいてもらいたいことを補足します。
20の答えに良し悪しはない
大切なのは、あなたが書いた答えに「良し悪しはない」ということです。
例えば、「私は絵を描くのが好き」という答えを書いたとしますが、あなたのそうした性質と社会的な評価とは関係がないのです。
ただし、あなたがそれをどう評価するかは、あなたの自由です。
内面的なことより外面的なことの方が多かった時、それを良くないと思ったなら、あなたは「もっと内面的なことが書ける人になりたい」と考えているのかもしれません。
自己評価のクセに気づく
あなたが書いて答えには、さまざまなあなたの側面が表れています。
自尊心は自己卑下、自分についての好悪の感情が伴うので、それを含めて考えることが大切です。
自分についてあるイメージを持っていると、生活の中でもそうした面を表現することが多くなりがちです。
例えば、自分を防衛的、自己卑下的に見ている人は、自分のそうした面を表現しがちです。
そのため、現実の自分よりも否定的な側面を強調した、控えめで遠慮した態度になるでしょう。
逆に自分を積極的、肯定的に見ていると、自信満々で自尊心を持った態度になりやすいと言えます。
このように、自己評価には自分が持つ評価の傾向やクセも入り込んでいるので、純粋に客観的とは言えなくなります。
自分に否定的なことを書いた場合も、肯定的なことを書いた場合も、それに捉われすぎないことも必要です。
自分を知ろうとする時に知っておきたいこと
- 時間をかけて自分なりの評価を作っていくことが大切
- 世の中の評価に自分の評価を必ずしも合わせる必要はない
- 否定的な意見も肯定的な意見もとらわれすぎないようにする
- 自己評価には自分の心のクセが入り込んでいることが多い
自分をポジティブに見る
自分をどのように表現するか、考えるかは、これまでの経験が影響します。
時に不公平な見方ではない場合もありますが、ネガティブな見方をポジティブに変えることで、自分についてのイメージが変わる可能性もあります。
「自分はダメな人間だ」などと自分を否定的に見る傾向がある人は、周囲から否定的に評価されてきた経験に影響されていることが多いです。
さらに、自分自身も、それを正しいと受け取って、H自分のイメージを作ってしまい、否定的な面ばかりを見て「自分はそういう人間だ」と思い込んでしまう可能性もあります。
このような人は、自分の長所を改めて探ってみましょう。
自分の短所だと思っていることの裏側を考えてみるのもおススメです。
長所と短所は裏表
慎重 ←→ 作業が遅い
注意深い ←→ 気が小さい
大胆 ←→ 無謀
自信家 ←→ 傲慢
のんびり ←→ ぼんやり
行動が早い ←→ 軽率
愛情深い ←→ おせっかい
ていねい ←→ 細かい
感情豊か ←→ 気分屋
一方、周囲からプラスの評価を受けたり大切にされたりすることは「自分はやればできる人間だ」など、自分に対して肯定的なイメージを持つ傾向を強めます。
そう考えると、ものごとを否定的に見たり言ったりする人には近づかないこと、周囲の人には自分のよい面を見てもらって褒めてもらうことが大切だと分かるのではないでしょうか。
それが肯定的な自分のイメージをつくる手助けになります。
ただし、しつけをされずに甘やかされて育った人の中には、自分のマイナス面を見ようとせず、目をそむけていることがあります。
目をそむけることは、理想を持たないことや成長の可能性を閉ざしてしまうことになるので、時には正当な批判を受けることも必要になってきます。
次回、「感情・思考・行動のバランスをとる」、へ続く