日々の生活の中でこんな気持ちになったことはありませんか?
自分が正しいと思うことは、なんと言われても変えられない…
商品を間違えられても、変えてもらうことができない…
自分の意見を通すために、人の気持ちを配慮できない…
このような状況が続くと、心の中に不満が溜まったり、周囲と関係が悪化してしまうなど、結果的にあなたの生活の質を下げてしまいます。
こうしたトラブルを解決し、より爽やかに生きるための方法が「アサーション」です。
お互いにとって心地いい関係を作るために「アサーション」を学んでみませんか?
第8回は、「感情・思考・行動のバランスをとる」の続き、「アサーションに必要な自己信頼」を解説していきます。
アサーションに必要な自己信頼
「自己信頼」とは、簡単に言うと自信のことです。
自分をある程度頼りにすることができるようになること、自分を当てができることが自信です。
例えば、幼い子どもは自信がない時は助けを呼んだり、人の助けを借りて物事を進めようとしたりします。
誰かが助けてくれることが分かると、「助けて欲しい」と言ってもいいことが分かり、そう言える自分、言うことに自信を持ちます。
自信をもって「助けて欲しい」と言えることは、自分ひとりは出来ないことを伝え、助けて欲しいと表現してもいい、ということなので、矛盾した言い方かもしれませんが、自信がないことに自信がついて、助けて欲しい時はきちんと依頼をすることができる、ということです。
本当に助けが欲しい時、相談したい時、それらを認めて求めることは、実は自分の現状をよく分かっている自立的な行動と言えるのです。
自己信頼(自信)は、自分ができることは実行して、できないことは認めて助けを得ることから培われます。
「助けて欲しい」と言える自分を「当てにする」ことができる、ということです。
と言うことは、自分の思いを正直に、率直に表現した時、それにきちんと反応してくれる人が必要、ということにもなります。
攻撃的な人の嫌味・従順な人の気持ち
ところが、「助けて欲しい」と言ってはいけないと思っている人、他者は自分を助けるべきだと思っている人、幼いころに「助けて欲しい」と泣いて頼んでも助けてもらえなかったりした人は、助けて欲しい時に素直な表現をしません。
例えば、自分ができることなのに、ある上司が「コピーをとってきて欲しい」「コーヒーが欲しい」とき、何らかの理由で「助けが欲しい・お願いしたい」ということであれば助ける人もいるでしょう。
しかし、「助けが欲しいとは言いたくない」「断られるのは嫌だ」と思っていると、命令することになります。
なぜなら、強く言えば自分が助けを必要とする弱さを見せずに、助けてもらえるからです。
従順な人から断られると、嫌味の一言でも言って「今度、みておけ!」などとダメ押しをしたりします。
反対に、上司の命令には「はい」と言うしかできない人、できないと言うと相手から嫌われると思っている人、不機嫌になられるのは困ると思っている人などは、断わってもいいことを引き受けてしまいます。
上司と部下、親と子、命令的な言い方をする人と優しく従順な人、などの組み合わせができると、攻撃的と非主張的なやりとりの悪循環が始まってしまいます。
この悪循環が、いわゆる「いじめ」の始まりです。
しかも、この悪循環では、同じことがより険悪なものとして強化された形で進むことになります。
自己信頼がある人とは、自分ができること・できないことを区別して自覚し、「できないことは引き受けない方がいい」「今できない事情を伝えよう」と、それを伝えることができる人なのです。
次回、「様々な事例でアサーション① 上司が怒ってばかりいる」、へ続く