突然ですが、あなたにとって「幸せ」とはなんですか?
- お金持ちになること
- 玉の輿にのること
- 幸せな結婚をして子供を育てること
- 大きな会社に入って安定した職があること
- 商売やスポーツで大成功して有名になること
これらの目的は達成すると嬉しいものです。
しかし、「自己肯定感」が低いと、これらの目的を達成しても幸せを感じられません。
一次的には嬉しいかもしれませんが、喜びが長続きしないのです。
「自己肯定感を高めて人生をもっと楽に!」では、自己肯定感とうまく付き合う方法を身につけ、幸せな毎日を過ごすための方法をご紹介していきます。
第14回は、「【自己受容感】…仕事の失敗を押しつけられた過去が忘れられない」の続き、「【自己効力感】…自分にはできると思える感覚」を解説していきます。
目次
【自己効力感】…自分にはできると思える感覚
自己効力感は、何らかの問題に直面した時、「こうすればうまくいくはずだ」というプランを立てられ、考えたプランを実行できるという自信を持つ感覚、です。
自己効力感が高まると、自分は何か成し遂げることができて、目標を達成できると信じられる状態になります。
つまり、勇気を持てるようになるのです。
また、
- 目標達成のために努力を継続することができるか
- 困難に直面した時にそのプレッシャーにどれだけ耐えられるか
- 挫けた時に挑戦を再開することができるか
といった力にも深く関係しています。
自己効力感が安定していると、私たちは何度でも挑戦する力が得られ、人生はいつからでも再起可能だと信じることができます。
「自己肯定感の木」に当てはめると、自己効力感は「枝」にあたる部分で、幹から多くの枝が伸びていくように、折れても折れても新しい枝が出てくるように、自己効力感はあなたの世界を大きく広げる役割を果たしてくれます。
一方、自己効力感が低下してしまうと、木の幹しかない状態ですから、葉も花も咲かない状態、行動する気力が湧いてこない状態になります。
やろうとプランを立てても、「できない」と思ってしまう…。
そうなった時の対処法として、2つの事例を紹介します。
【事例1】今度こそ…と思ってもダイエットが続かない
しかし、ダイエットに関しては、完璧主義的な考え方が邪魔をするのか、何度となく挑戦しても失敗し、うまくいかないと悩んでいました。
Sさんが実践していたのは、カロリー制限と運動を組み合わせたオーソドックスなやり方です。
ただし、「ダイエットは、ケーキを一切食べない」「夜20時以降は何も食べない」という条件を、徹底的に厳しく自分に課していたようです。
ところが、友達からケーキをすすめられたり、クライアントとの会食で食事が20時以降になった自分が許せない、私は無能だと言うのです。
ダイエット中の一度の失敗で、「自分は意志が弱い」という自己否定が始まり、「食べてはいけないものを食べた」という失敗に引きずれて、ダイエットそのものをやめてしまいます。
それでも、冷却期間をおいて数か月後、また新しいダイエットを始めますが、厳しい条件付けを破ってしまい、うまくいかず…を、繰り返しているのでした…。
一度の失敗でなぜ続けられなくなってしまうのか
さて、Sさんの自己効力感を下げるきっかけはどこにあったのでしょうか?
Sさん本人は、「食べてはいけないものを食べてしまった」「食べてはいけない時間帯に食べしまった」ことが失敗だと考えていました。
しかし、これは失敗でもなければ、自己効力感を下げるきっかけでもありません。
本当の問題は、目標設定と、そこに向かうための条件付けにあります。
漠然と「ダイエットをしたい」ではなく、「何月何日までに何キロダイエットを成功させる」という、具体的な目標設定を行うこと。
また、その目標を達成するために、どういうステップを踏んでいけばいいのかを考え、クリアしやすい小さなステップを複数用意すること。
これらの設定が大切です。
これは、こちらで紹介した「スモールステップの原理」です。
自己効力感を高めるには、スモールステップがもたらす「達成できそうな課題に取り組む」「課題を達成した成功体験を得る」という2つの効果が非常に役に立ちます。
例えば、「平日はケーキを食べない」というような小さなステップを用意して、それを達成することができれば、小さな成功体験になります。
その積み重ねが「私、できるかも」という自信となって、自己効力感を回復させます。
Sさんには、「23時以降は食べない」「朝ごはんと昼ごはんは低糖質メニューにする」など、実現できそうな小さなステップをいくつか考え、それができた自分に「〇」をつけていきました。
元々、意志が強いSさんは、自己肯定感をコントロールする力を手に入れ、より自分らしいペースで結果を出すことができるようになりました。
「失敗した時は何をすべきか」をあらかじめ決める
もう一つ大切なのが、失敗した時のための対策です。
例えば「春までに5キロ痩せたい」という目標を立てたとして、着実にスモールステップを踏み、あと1キロで目標達成というところで、どうしても断われない会食に参加することになりました。
Sさんはこれまでにもハイカロリーな食事をとってダイエットをなし崩し的に終わらせてしまったことがありました。
これは、失敗や挫折を想定せずに計画を立てているからです。
目標を設定する時は、「失敗、挫折、計画外のことが起きる」ということを盛り込んでおきましょう。
実際に失敗した時、予想外の出来事が起きた時、自分がどんな感情を抱くのか?
その結果、物事が進まなくなった時、どう対処すればいいのか?
そこまでの準備をしておくといいでしょう。
これを怠ると、「私は意志が弱いんだ」と落ち込んで、自己効力感を低下させ、目標を達成する確率も一気に下がってしまいます。
特に、Sさんのような完璧主義の人は、一度自分で決めたルールが崩れると、「もうダメだ…」と、そのまま総崩れになってしまう傾向があります。
そこで、失敗への対処法として、カウンセリングですすめられたのが、脳の性質を活用した「if-thenプランニング」でした。
Sさんはこんなふうに条件づけをしました。
結果、一度の失敗で「自分は意志が弱い」と自己否定に入ることがなくなり、逆に翌日から再びダイエットを始められたことが、小さな成功体験となっていきます。
この、
という感覚が、自己効力感をさらに高めてくれるのです。
ダイエットを繰り返す人が、「完全に糖質を抜く」「絶食をする」などの極端な方法に走りがちなのは、自己効力感が下がっているためで、無理に高い目標設定をして、一気に変わろうとしているためです。
まずは、自分のリズムに合わせてスモールステップを踏み、
「できた―!」
と目標に近づいていきましょう。
これはダイエットに限らず、あらゆる目標設定に共通する成功の秘訣でもあります。
あなたの自己効力感も、感情をコントロールし、脳の性質を利用すれば、何歳からでもつくることができるのです。
次回、「【自己効力感】…子育てがうまくいかない自分が情けない」へ続く