突然ですが、あなたにとって「幸せ」とはなんですか?
- お金持ちになること
- 玉の輿にのること
- 幸せな結婚をして子供を育てること
- 大きな会社に入って安定した職があること
- 商売やスポーツで大成功して有名になること
これらの目的は達成すると嬉しいものです。
しかし、「自己肯定感」が低いと、これらの目的を達成しても幸せを感じられません。
一次的には嬉しいかもしれませんが、喜びが長続きしないのです。
「自己肯定感を高めて人生をもっと楽に!」では、自己肯定感とうまく付き合う方法を身につけ、幸せな毎日を過ごすための方法をご紹介していきます。
第19回は、「【自己決定感】…自分で決定できるという感覚」の続き、「【自己決定感】…結婚か昇進か、自分がわからない!」を解説していきます。
目次
【自己決定感】…自分で決定できるという感覚
「自己決定感」とは、自分で主体的に決め、それを出来るという感覚で、これが十分に得られていると、やる気が高まった状態を維持できます。
今回は、人生の大きな決断が一気にやってきた、Aさんの事例をご紹介します。
【事例1】結婚か昇進か…どうすればいいか自分でも分からない!
そろそろ結婚もしたいし、子どもがいる人生を歩みたい…。
でも、仕事も楽しく、今の生活にも満足しています。
充実した日々を送っていましたが、ある日、会社の上司から昇進を打診されました。
昇進すると勤務地が変わり、彼氏とは遠距離になる可能性がありますが、とはいえ、昇進を断ると、そのポジションには入社当初から面倒を見ていた年下の男性社員が就くことになるようです。
仕事のキャリアだけ考えれば昇進の話を受けるべきですが、結婚が遠のくかもしれないと思うと、すぐに返事ができません。
年齢的な分岐点を迎え、どうすればいいのか分からなくなったAさん。
これまでの歩みが順調だっただけに、自己信頼感、自己決定感が大きく下がってしまいました…。
人は選択肢が多いほど決められない
Aか、Bか、Cか。
Aを選ぶとBがうまくいかなくなりそうで、Cなら納得できそうだけど、AとBが満たされなくなってしまう…。
選べる選択肢が豊富なぶん、どの道に進むのが最適なのか分からなくなってしまったAさん。
一般的に選択肢が多いことは良いイメージがありますが、脳科学や行動経済学では、選択肢の豊富さは私たちを悩ませ、決断力を鈍らせると言われています。
人間の意思決定に関して研究しているコロンビア大学のシーナ・アインエンガー教授が、興味深い実験を紹介しています。
教授の研究チームは、スーパーの試食コーナーに24種類のジャムを揃えた週末と、6種類のジャムを揃えた週末で、売上にどのような差が出るか実験をしました。
すると、ジャムの種類が豊富な時は、多くのお客さんが集まり、売り場は大いににぎわいました。
選択肢の多い試食コーナーは、お客さんを「いろいろ選べる!」と楽しくさせ、多くの人を惹きつけたのです。
しかし、試食後にジャムを購入した割合を調べると、結果は逆転。
6種類のジャムを揃えた週末の方が、よい売上を記録しました。
なぜなら、選択が絞り込まれている方が決断を下しやすいからです。
この実験結果は、多種多様なビジネスに応用され、今では「豊富な選択肢を与えるより、選択肢を絞りこんで提示した方が成果に繋がる」と、考えられるようになっています。
人生の選択肢をはっきりさせる方法とは
カウンセリングにやってきたAさんは、まさに豊富な選択肢に悩まされている真っ最中でした。
人生における悩みの多くは、仕事(夢、将来、キャリア)、人間関係(結婚、恋愛、職場)、お金、健康、に集約されると言われます。
Aさんはまさに健康以外の要素に関係する決断の時が一気にやってきたわけです。
あらゆる問題が複雑に絡み合う状況を前に、「どうしたらいいのかな…」と思考は停止。
決められない自分にも苛立ち、自己効力感、自己決定感を中心に、自己肯定感を低下させてしまったのです。
こうした状況を変化されるには、一度立ち止まって問題を整理する必要があります。
Aさんがカウンセリングで勧められたのは、人生の優先順位をはっきりさせるための「タイムライン」と、ビジョンを具体化する「イメトレ文章完成法」でした。
また、尊敬できる人を想像してもらい、「その人ならどうするか?」をイメージする、「レファレント・パーソン」も活用しました。
最終的に、Aさんは、
と、気づき、昇進の話は断り、転勤のない今の職場で仕事を続け、彼氏との結婚を前に進める、という決断を下しました。
選択肢が多すぎて決められない時、自己決定感の低下で悩んでいる時に大切なのは、あなたが主体的に決めやすい材料を切り出すこと、です。
何が自分にとって重要か?
人生で大切にしていきたい価値観はどんなものか?
日頃、曖昧になっている根本的な問いかけをしながら、「タイムライン」で、1年後、3年後、5年後、7年後の自分をイメージすること。
また、
と、「レファレント・パーソン」を思い浮かべること。
そうやって絞り込んだ選択肢を実行した時、どんな未来が待っているのか「イメトレ文章完成法」で具体感していきます。
そうすることで、主体的に決めることができるようになり、結果として自己決定感も回復していきます。
選択肢が多い時は、まず選択肢を絞ってみる。
それでも複雑に入り組んでいる時は、さまざまなテクニックを使いながら、本当の自分の答えはなにか、を問いただし、自己決定していく。
この繰り返しを人生の中で行うことで、自己決定感が高まり、幸福度も上がってくるのです。
その他に、低下した自己決定感の回復に使える、瞬発型の対処法としては、以下のような方法があります。
- 「私ってイイ人!」と思って挨拶をする
- 好きなものだけを見る時間をつくる
- 立ち上がってみる
- 明日、着る服を決めておく
- 自分で決めて、楽しく実行する
これらは後ほど詳しく解説していきます。
次回、「【自己有用感】…自分は何かの役に立っているという感覚」へ続く