これといった原因がないのに、毎日体調が悪い…。
慢性的な吐き気、頭痛、めまい、疲労感…。
病院に行って、いろいろ検査をするものの異常なし。
その原因は、心の問題かもしれません。
今回は、そんな「身体化障害」について詳しく見ていきます。
目次
身体化障害とは?
身体化障害とは、重度な慢性疾患であり、身体疾患では説明できない様々な身体症状が繰り返し起こる状態のことを言います。
簡単に言うと、身体に様々な不調が長く続いているのに、これといった病気が見つからない障害です。
30歳以前から症状があらわれて、男性より女性に多くみられます。
吐き気、頭痛、疲労感などの身体症状が数年続くのが特徴です。
身体化障害の主な症状は?
身体化障害の症状は、人によってかなり違いがありますが、主な症状は以下になります。
- 吐き気
- 頭痛
- 胃がキリキリ痛む
- 下痢や便秘を繰り返す
- 疲労感
- めまい
- 下痢
- 痙攣
- 麻痺、しびれ
- かゆみ
- 灼熱感
- 幻覚 など
これらの症状は、身体全体のどこでも現れることがあり、また症状や発生頻度は、人によって個人差があります。
特に、消化器官や皮膚の不調が多くみられるようです。
症状が悪化したり、新しい症状が出る期間が6~9か月続き、その後、症状が比較的落ち着く期間が9~12か月続きます。
病院に行っても、症状を説明しても、原因となるものがよくわからないため、医師には「特に異常はない」と言われてしまいます。
ですが、本人が症状に苦しんでいるのは事実なので、結果「満足いく診察がされなかった」と、いくつもの病院を受診してしまうことがあります。
この障害を持つ人の多くは、自分に精神障害があることに気づいていません。
一方で、医学的な処置を必要とする身体症状があると確信しています。
そのため一般的には、徹底的な検査で何も発見されなかったり、重篤な疾病が発見されなかった場合でも、医師にさらなる検査や治療を行うよう強く求めたりします。
実際に、患者さんは身体症状で困っているため、精神科を受診するに至るまでに数年ほどかかってしまうこともあるようです。
身体化障害の原因は?
身体化障害の原因として、ストレスと遺伝要因の2つが考えられます。
ストレス
身体化障害の原因は、無意識にため込んでしまったストレスにあると考えられます。
耐えられるストレスの量は人それぞれですが、その量を超えるストレスを感じてしまうと、あふれたストレスが身体症状として表れてしまいます。
感じているストレスが大きいほど、身体症状もひどくなるようです。
また、過去の出来事(虐待を受けていたなど)もストレスの原因と考えられます。
仕事や家庭などの日々の小さなストレスでも、積み重なって身体化症状の発症にいたることもあります。
遺伝要因
身体化障害の患者さんの1~2割の方は、両親や兄弟、その子どもに同じような身体化障害の症状がみられるという報告があります。
性格面においては、何かに依存しやすいタイプ、自己愛が強いタイプが身体化障害になりやすいと言われています。
身体化障害の治療法は?
治療を始める前に、身体化障害は心の問題だということに気づくことが大切です。
身体化障害の治療には「認知行動療法」などの精神療法がもっとも有効とされています。
そのため、まずは一人の医師を主治医とし、信頼関係を築いていきましょう。
また、身体化障害は治療を初めてすぐに症状が改善するものではありません。
そのことを頭に入れておきましょう。
うつ症状などが強くなっている場合は、抗うつ薬や、抗不安薬などのお薬を服用することもあります。
まとめ
様々な身体症状の原因は心の問題からくることもあります。
ストレスを溜めこんでしまわないように気分転換をしたり、頑張り過ぎないでちゃんと休むということも大切です。
いろいろな検査をしても、身体疾患として説明できないような症状が続くようなら、一度精神科を受診してみるといいかもしれません。