今回は「適応障害」の特徴と、主にあらわれる3つの症状について、詳しく見ていきます。
前回の記事⇒適応障害とは?① ~こんな人がなりやすい・・性格&症状チェック~
目次
適応障害の特徴
特徴① はっきりと特定出来るストレスが原因となっている
適応障害と一番、共通点が多い病気としては、「うつ病」が当てはまります。
例えば、仕事のストレスが原因になっている場合、出勤することに対するストレスが原因で憂うつになってしまったり、めまいや発汗などの身体症状は「うつ状態」もしくは「うつ病」などと診断されてもおかしくない症状です。
しかし、適応障害の一番の特徴は、「特定のストレスが症状の原因になっている」という点です。
先ほどの例でいえば「仕事に対してストレスを感じている」為、極端にいえばその仕事を辞める・転職するなど、症状の原因となっているストレスを取り除く事で症状が治まるということです。
うつ病であった場合は、環境が変わってもうつ状態が続きます。
特徴② 適応障害の症状はこれと決まったものがない
上述した様に、「ストレスが原因で社会生活に支障をきたす」障害なので、本人の感じているストレスなどによって発症する症状が違います。
うつ病や、統合失調症・気分障害・不安障害などの判断基準を満たす場合はこちらの診断が優先されることになります。
適応障害と診断されるには、以下の要素を満たす必要があります。
- 日常生活や仕事に支障をきたすほど症状が強い
- 環境変化によるストレスが原因であり、その原因が特定できる
- 環境変化から3ヶ月以内に症状が発現している
- 原因のストレスから離れれば、速やかに症状が改善する
- 他の病気の所見が見られない
適応障害の症状3つのタイプ
適応障害は、ストレスによって様々な症状が起きるため発症する症状は多岐に渡りますが、大きく分けると3つのタイプに分ける事ができます。
精神症状
適応障害において一番顕著に現れるのはやはり精神的な症状です。
- 不安
- 抑うつ
- 焦燥感
- イライラ
- 怒り
- 感情の混乱
…など
上記の他に、うつ病や不安障害にも見られる症状が出現します。
うつ病や不安障害との違いは、「症状の原因となっているストレスを排除すれば症状が治まるかどうか」という点にあります。
ただし、環境変化によるストレスを原因とした適応障害がきっかけになり、うつ病や統合失調症などの重大な病気に発展してしまう事もあります。
身体症状
ストレスを受け続けると、精神的な症状だけではなくそれが身体症状として現れてしまう事もあります。
- 疲労感
- 倦怠感
- 不定愁訴
- 頭痛
- 微熱
- 動悸
- 食欲低下
- 下痢
- 睡眠障害
- 肩こり
- 耳なり
- めまい
- 胃腸の不調
- 足のしびれ、冷え、痛み
…など
このような体調不良があると、ますます出社や登校が困難になり、そのせいで更に適応障害が進む、という悪循環になってしまいます。
問題行動
精神症状と似た面がありますが、ストレスを溜め込み、社会的・一般的にみて問題行動を起こしてしまう事があります。
イライラしがちとなり、衝動的な行動を起こしたいという感情に襲われます。
- 不登校
- 遅刻
- 無断欠勤
- 暴飲暴食
- 乱費
- ギャンブル
- 自傷行為
- 緘黙
- 危険運転
- 薬物乱用
- 動物虐待
- 売春
- 万引き
- 暴力
- 公共の場へのいたずら
…など
適応障害と診断された人の多くに、アルコールや薬物などの物質乱用が認められたという報告があります。
日常生活に支障をきたすだけでなく、身体的にも社会的にも大きな影響を及ぼします。
適応障害から抜け出すには?
適応障害は、「原因となる環境変化がなければ、この症状は発症しなかった」と確実に推定出来る場合に診断されます。
逆に言えば、原因となっている環境から抜け出す事が一番の治療法といえます。
適応障害では、必ず原因となるストレスが存在し、それを取り除けば発症している症状が改善に向かって行きます。
しかし、その状態が長く続くことで、もっと重大な精神疾患にかかってしまうということもあるので、早めの対応が必要になってきます。
言うだけなら簡単ですが、仕事などがストレスの原因の場合、簡単に辞めたり転職なども出来ないのが現実としてあります。
ストレス社会と言われている現在では、様々な病気に発展する恐れのある障害として、適応障害は一番恐ろしいものかもしれません。