私たちの健康には、身体的なもの以外にも精神的なものがあります。精神的な健康が害されれば、身体にも影響が出てくる事があります。
少し難しい言葉でいえば、交感神経と副交感神経という2つの自律神経のバランスによって保たれており、自律神経は全身の器官をコントロールしているため、バランスが崩れると身体にも影響が出てしまうのです。日常生活を始めとする様々なストレスが起因して、様々な症状が起きてしまう障害を適応障害といいます。
目次
適応障害は具体的にどんな障害なの?
適応障害とは、WHO(世界保険機関)によると「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。
つまり、適応障害とはストレスが原因で生活に支障が出る状態といえます。
適応障害は、夫婦間のトラブルや教育、過重労働、部署異動、結婚や離婚など、良い事や悪い出来事に関わらず生活環境が変化する事によってストレスを感じてしまい、そのストレスに適応出来ずに生じる心の症状です。
人それぞれ同じ環境にいても感じ方・考え方などは人それぞれなので、それによって受けるストレスの影響度や適応力も違ってきます。同じ環境の中でもそれを苦痛と感じて、健康的な社会生活が出来なくなってしまう事があるのです。
適応障害の特徴1〜はっきりと特定出来るストレスが原因となっている〜
適応障害は、様々なストレスが原因で社会生活に支障をきたす症状を起こしてしまうため、その症状は多岐に渡ります。
しかし一番、共通点が多い病気としては「うつ病」の症状が当てはまります。例えば、仕事がストレスの原因になっている場合、出勤することに対するストレスによって憂鬱になってしまったり、めまいや発汗などの症状など診断名として「うつ状態」「うつ病」などと診断されてもおかしくない症状なのです。
しかし、適応障害の一番の特徴は、「特定のストレスが症状の原因になっている」という点にあります。つまり、先ほどの例でいえば「仕事に対してストレスを感じている」為、極端にいえばその仕事を辞める・転職するなど、症状の原因となっているストレスを取り除く事で症状が治まるということです。
うつ病であった場合は、環境が変わってもうつ状態が続きます。
適応障害の特徴2〜適応障害の症状は、これと決まったものがない〜
適応障害とは、上述した様に、「ストレスが原因で社会生活に支障をきたす」障害なので、本人の感じているストレスなどによって発症する症状が違います。
うつ病や、統合失調症・気分障害・不安障害などの判断基準を満たす場合はこちらの診断が優先されることになります。
適応障害と診断されるには、以下の要素を満たす必要があります。
- 日常生活や仕事に支障をきたすほど症状が強い
- 環境変化によるストレスが原因であり、その原因が特定できる
- 環境変化から3ヶ月以内に症状が発現している
- 原因のストレスから離れれば、速やかに症状が改善する
- 他の病気の所見が見られない
適応障害の症状3つのタイプ
適応障害は、ストレスによって様々な症状が起きるため発症する症状は多岐に渡りますが、大きく分けると3つのタイプに分ける事ができます。
精神症状(不安や抑うつなど)
適応障害において一番顕著に現れるのはやはり精神的な症状です。
不安、抑うつ、焦燥感、感情の混乱などの症状を始めとして、うつ病や不安障害に見られる症状が見られます。これらの障害との違いは前述の通り、「症状の原因となっているストレスを排除すれば症状が治まるかどうか」という点にあります。
ただし、環境変化によるストレスを原因とした適応障害がきっかけになり、うつ病や統合失調症などの重大な病気に発展してしまう事もあります。
身体症状(頭痛や吐き気など)
ストレスを受け続けると、精神的な症状だけではなくそれが身体症状として現れてしまう事もあります。
疲労感や倦怠感、頭痛や動悸などが代表的な症状になります。
問題行動(無断欠勤や無謀運転など)
精神症状と似た面がありますが、ストレスを溜め込み、社会的・一般的にみて問題行動を起こしてしまう事があります。
イライラしがちとなり、衝動的な行動を起こしたいという感情に襲われます。
適応障害から抜け出す為には?
適応障害は、原因となる環境変化がなかったならこの症状は発症しなかったと確実に推定出来る場合に診断されます。
逆に言えば、原因となっている環境から抜け出す事が一番の治療法といえます。
適応障害では、必ず原因となるストレスが存在し、それを取り除けば発症している症状が改善に向かって行きます。
しかし、その状態が長く続くことで、もっと重大な精神疾患にかかってしまうということもあるので、早めの対応が必要になってきます。
と、言うだけなら簡単ですが、仕事などがストレスの原因の場合、簡単に辞めたり転職なども出来ないのが現実としてあります。ストレス社会と言われている現在では様々な病気に発展する恐れのある障害として、適応障害は一番恐ろしいものかもしれません。。