就労移行支援事業とは?
就労移行支援事業とは、平成25年4月1日から施行された「障害者総合支援法(旧:障害者自立支援法)」という法律で定められた福祉サービスの1つです。具体的には、障害をお持ちの方の就職をサポートする通所型の福祉サービスです。
現在では、NPOや株式会社まで様々な運営母体が就労移行支援事業所を運営しており、各事業所によって運営方針や事業所内の雰囲気など特色が異なっている事が多いです。また、受け入れる障害の区分も各就労移行支援事業所によって異なり、「身体障害」「精神障害」「知的障害」「難病指定」などが大きく分けた際に区分されます。
各事業所に特色があるとはいえ、基本的に利用者が企業へ就職するためのプログラムを行っており、就職活動においては面接の練習や場合によっては面接の同行なども行ったりします。また、無事に就職した後も、「定着支援」として就職後のメンタルケアや場合によっては企業の担当の方との定期的な連絡によって就職後のサポートを行います。
具体的にどんなことをしてるの?
福祉サービスですので、事業所によりプログラムは様々ですが、基本的には前述した様に企業へ就職する事が目的ですので、そのために事業所が用意したプログラムなどを行っていきます。
最近では、世間での精神障害への理解も深まりつつあり、精神障害をお持ちの方であればメンタルのサポートなどから、就職した際に役立つスキル、具体的には「ビジネスマナー」や職場での人間関係に困らない為の「コミュニケーション能力」を上げる為のプログラム、またエクセルなど実務でよく使われるであろう「パソコンスキル」の習得、各資格を取得するための支援を行っている事業所が多いです。
また、特徴的な事業所では「Webデザイン」や「プログラミング」など少し高度なPCスキルを教えてもらえる事業所なども出て来ている様です。
どんな人が対象?
就労移行支援事業所では、原則的に企業への就職を目指している障害をお持ちの方が利用する事ができます。ただし、障害手帳を持っていない場合でも、統合失調症、うつ病、躁鬱病(双極性障害)、気分障害、不安障害、適応障害、強迫性障害や発達障害(アスペルガー症候群、自閉症、ADHD)などの疑いがある、または精神科などのメンタルクリニックに通っている方なども診断書を貰う事で利用することが可能です。
ただし、都道府県や市区町村などによって判断が異なる場合がありますので、お近くの就労移行支援事業所などで相談するのがいいかと思います。
- 18歳以上、65歳未満の方
- 現在、離職中の方
- 就職の意志がある方・復職希望の方(復職の場合は都道府県市区町村によって適用外の場合もあります)
利用料金はどれくらい?
利用料金は、本人の前年度収入や世帯収入などに関わってきます。サービス提供費用の1割を上限として、世帯の所得に応じて4区分の負担上限額が設けられています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限額(月額) |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市区町村民税課税世帯(所得割16万円未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム・ケアホーム利用者を除く |
9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(注1)3人世帯で障害基礎年金1級受給の場合、収入がおおむね300万円以下の世帯が対象となります。
(注2)収入がおおむね600万円以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。
就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所との違いは?
就労移行支援事業所と就労継続支援A型事業所・B型事業所との一番の違いは、「就労機会の提供の有無」となります。
就労移行支援事業所は、対象の利用者が障害をお持ちで就職を目指す方であるのに対し、就労継続支援A型・B型は一般企業への就職が困難な障害者に対して就労機会を提供するといった違いがあります。
簡単に言うと、就労移行支援事業所では「就労の機会」というよりも「就労をするための訓練」を行い、就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所では「就労の機会」を利用者に対して直接的に提供しているという事です。