うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
第19回は、「非定型うつ病の患者像」の続き、「非定型うつ病と関わりが深い病気 “不安症”」をみていきます。
非定型うつ病と関わりが深い病気 “不安症”
非定型うつ病と、パニック症、社交不安症、恐怖症などには、切っても切れない関係があります。
いずれの病気にも、根底に共通する“不安気質”があり、併発する患者さんも多くみられます。
非定型うつ病は“不安の病気”。不安症との関わりが深い
一般的に、うつ病は「気分障害」と呼ばれます。
文字通り、気分が障害されますので、毎日、朝から晩まで憂うつな状態が続きます。
楽しいことがあっても楽しめず、憂うつな気分は解消されません。
ただし、これは定型うつ病の話。
非定型うつ病は、よいことがあれば気分もよくなり、うつの時でも好きな音楽や趣味などを楽しんだりすることができます。
同じ「うつ病」という名前でも、非定型うつ病の症状は、定型うつ病とはかなり違ったあらわれ方をします。
非定型うつ病は、根底にある不安気質がもたらす病気なので、気分障害だけでなく、「不安症」との関わりが深いのです。
不安症とは、病的な不安に陥って、心や体に激しい不安症状があらわれて、日常生活に支障をきたす病気の総称です。
不安症に含められる病気は、
- 分離不安症
- 社交不安症
- 限局性恐怖症
- 全般不安症
- パニック症
- 広場恐怖症
…の、6つに分けられます。
それぞれ合併することも多く、
それぞれが合併することも多く、病気の経過中に非定型うつ病を伴うケースも非常に多くなっています。
不安症の病気がどんな年代であらわれやすいのか?をみたのが下の図です。
幼少時には人見知り傾向があり、それが「分離不安」、「限局恐怖症」となります。
学童期から思春期にかけては「社交不安」。
青年期から成人にかけては「広場恐怖症」。
そして、最終的には「パニック症」があらわれます。
これらの不安を土台として、非定型うつ病が高率で併発します。
次回、「非定型うつ病と併発しやすい“不安症”」へ続く