うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
第21回は、「非定型うつ病と併発しやすい“不安症”」の続き、「パニック症とはどんな病気か」をみていきます。
パニック症とはどんな病気か
パニック症というと、激しい発作症状が注目されがちですが、発作がおさまってからもやっかいで、きちんとした治療が必要です。
また、病気として認知されたのはごく最近のこと。
まだまだ誤解の多い病気なのです。
発作がおさまってからも慢性的に経過する
パニック症は、特懲的な発作症状(パニック発作)がよく注目されます。
パニック発作には、
- 激しい呼吸困難
- 激しい動悸
- めまい
- 吐き気
など、多彩な身体症状が伴うため、患者さんは、
「精神錯乱を起こすのではないか」
と、追い詰められます。
この経験は、患者さんにとって耐えがたく、病気の根底にある不安や恐怖はますます強くなり、発作がおさまってからも様々な症状があらわれます。
これがパニック症のやっかいなところで、きちんと治療しないと慢性的に経過する病気なのです。
発作が起こっていない時もそれを恐れたり(予期不安)、一人では外出できなくなったり(広場恐怖症)、うつ病を併発するなどして、日常生活に支障をきたすようになります。
パニック症の患者さんの苦痛はや社会的な障害の度合いは、うつ病よりも高く、心筋梗塞に近いという調査報告もあります。
病名、治療法など認められたのは最近
パニック症は、100人に2~4人は発症する可能性がある比較的ポピュラーな病気です。
患者さんの数は、先進国ほど多い傾向があり、現代病ともいえるかもしれません。
病気そのものは昔からあり、かつては「心臓神経症」、「不安神経症」として扱われてきたものです。
パニック症という病名(当時はパニック障害)が、アメリカの精神医学会で広く認められるようになったのは、1980年(「DMS-3」に登録)です。
さらに、WHO(世界保健機関)の国際疾病分離にパニック症が登録され、この病名を世界的に統一して使うことが決まったのが1990年。
その後、パニック症の代表的な薬(パロキセチン)が、日本で認可されたのは2000年になってからのことです。
病名も治療法も、日本で認められてから日が浅く、一般の人だけでなく、医療現場での知識も十分とは言えないのが現状です。
パニック症は、きちんと診察されず、正しい治療が行われることもまだ少ない、というのが現状です。
次回、「パニック発作で起こること」へ続く