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非定型うつ病ってどんな病気?【23】~パニック症はどんな経過をたどるのか~

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うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。

うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。

「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。

第23回は、「パニック発作で起こること」の続き、「パニック症はどんな経過をたどるのか」をみていきます。

目次

パニック症はどんな経過をたどるのか

パニック症は、一度パニック発作を起こして発症すると、多くの場合、ほぼ決まったコースをたどります。

発作のあと、病気がどのように経過するのかをみていきましょう。

繰り返す発作。その不安がさらなる不安を呼ぶ「予期不安」

パニック発作は、最初突然場所や状況を選ばずに起こります。

発作そのものは、30分前後でおさまることがほとんどですが、それで発作が終わるわけではありません。

パニック発作は、繰り返し起こるという特徴があります。

最初の発作から次の発作まで、普通は数日から数週間ありますが、人によっては連日起こることもあります。

2回目の発作のあとは、比較的短期の間に連続して発作が起こります。

こうして何度も繰り返すうちに、本来は「不意に起こる」はずのパニック発作は、次第に「特定の状況と結びついたもの」になっていきます。

患者さんはパニック発作の恐ろしい経験と、それが起こった状況や場所を結び付け、緊張感を高め、自ら「発作を起こりやすい状況」を作ってしまいます。

一度、発作の恐怖を体験すると、その時の感覚を覚えてしまい、また発作が起きるのではないかと、不安が不安を呼ぶような悪循環に陥ってしまう、これが「予期不安」です。

予期不安は、パニック症の根本的な症状で、パニック発作があっても、予期不安がなければパニック症の診断はされません。

予期不安が高まると、しだいに発作が起こりやすそうな場所や状況を避けようとする行動に繋がっていきます。

それが「広場恐怖症」と呼ばれるものです。

行動範囲が狭くなり生活に支障が出る「広場恐怖症」

パニック症を発症すると、80%以上の人が程度の差はあれ「広場恐怖症」を併発します。

広場恐怖症の「広場」とは、広い場所という意味ではなく、もしパニック発作が起こったら、人前で恥ずかしい思いをするのではないかと不安になる場所、すぐににげられない場所、助けを求められない場所のことです。

そのような場所や状況に身を置くことに恐怖を感じ、避けようと行動する(忌避・逃避行動)してしまうのが広場恐怖症です。

患者さんが恐れているのは、発作が起きそうな場所や状況というより、実はパニック発作そのものなのです。

「逃げ場がない」
「助けてくれる人もいない」
「こんなところで発作が起きたらどうしよう」

と、想像してしまうところから広場恐怖症は生まれます。

人によっては、恐怖する対象がどんどん拡大し、ついには家から一歩も外へ出らえれなくなることもあります。

また、広場恐怖症は患者さんを依存的にしてしまいますので、

  • 一人で家にいられない
  • 外出時は家族など親しい人の同伴が必要になる

などといった、本人や周囲の人にとっても日常生活に様々な障害が出てきます。

広場恐怖症のために電車に乗れず、通勤が困難になり失職する、といったケースも起こります。

しかし、このような極端な広場恐怖症は、通常それほど長くは続きません。

大半の人は、数か月もすると不安や恐怖に慣れ、自分で行動範囲を広げられるようになります。

一方、一度広場恐怖症になると、パニック発作が消えたあとでも、無意識のうちに自分の行動を制限してしまう人も、かなり多くみられます。

うつ病は他の不安症を併発する

広場恐怖症を伴うパニック症は、他の不安症や気分障害(うつ病)を、非常に高い確率で併発します。

例えば、「社交不安症」もその一つです。

●人との接触を避ける「社交不安症」

パニック症の患者さんは、パニック発作によって人前で取り乱し、恥ずかしい思いをすることを恐れます。

「発作を起こしたら、見ず知らずの人に迷惑をかけるのではないか…」

という心配もあります。

広場恐怖症にみられる、逃げられない状況、助けてもらえない状況への恐怖は、こういった対人関係への不安や心配とも関わりがあるのですが、これが高じると人との接触を避けるようになります。

これを「社交不安症」と言います。

パニック症は、広場恐怖症や社交不安症などの恐怖症を伴うことも多く、これが進むと日常生活がさらに困難なものになります。

●慢性期に多くなる「うつ」

パニック症の経過の中で、前駆期から急性期にかけて、うつ病があらわれることがありますが、これは少数派。

うつ病が多くなるのは、パニック症が慢性期に入ってからです。

広場恐怖症や回避行動のためにできない事が多くなり、生活を楽しんだり、物事に打ち込むエネルギーが少なくなって、うつ病を併発してしまいます。

パニック症に併発するうつ病の大部分は、非定型うつ病です。

■広場恐怖(広場恐怖症)を伴うパニック障害(パニック症)の併発障害 ~生涯有病率~


 
次回、「病気で傷ついた心から生まれる思考・行動」へ続く


 

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