うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
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第24回は、「パニック症はどんな経過をたどるのか」の続き、「病気で傷ついた心から生まれる思考・行動」をみていきます。
目次
病気で傷ついた心から生まれる思考・行動
パニック症によって、長い間ストレス・恐怖・不安にさらされ、傷ついた心は、患者さん本来の性格を変え、極端な行動をとらせることがあります。
人が変わったようになるのは病気のせい
パニック症の人全員がそうなるわけではありませんが、病気が長期化したり、重症化してくると、一部の人に「性格の変化」があらわれることがあります。
まるで人が変わったように、神経質になったり怒りっぽくなったりして、周囲は戸惑いますが、これも病気が原因なのです。
パニック症の人は、発症に先立って大きなストレスを抱えているケースが多く、さらに病気によっては、普通の人には想像もできないほどの強い不安や恐怖にさらされ、二重の苦しみを背負っています。
そのため、病気が重くなるほど健康な心は傷つき、本来もっていたものとは全く別の思考や行動パターンへと変化していくことがあります。
●依存的になる
パニック症になる前は、行動力があって何でも自分でできた人でも、パニック発作が起こるようになると、過度に他人へ依存するようになることがあります。
特に重度な広場恐怖症の人は、家族や友人、隣人などからも嫌がられるほど、絶えず人付き合いを求めることがあります。
発作の恐ろしさから身を守りたいがために、保護を求める気持ちが習慣化してしまうようです。
●怒りを爆発させる、キレやすくなる
非定型うつ病でも見られる怒り発作の状態です。
パニック症の場合、発作によって神経が興奮しやすくなり、些細なことにも大きな反応をしてしまいます。
怒り発作は、全ての患者さんにみられるものではありませんが、パニック症を特徴づける症状です。
突然やってくるパニック発作や、恐怖や不安を伴う激しい身体症状。
これらの発作を繰り返し、次第に重症になると怒りを爆発させてしまうと考えられています。
●ハマりやすくなる
発作のことばかり考えるうちに、物事を客観的に見られなくなり、感情移入して「ハマりやすく」なります。
「ハマる」のは楽しい時間です。
長い間、不安や恐怖にさらされてきたことへの反動として、自分が楽しいと思ったことにハマってしまうのです。
- パチンコなどのギャンブルに走る
- コレクションに凝る
- インターネットやゲームに熱中する
- アルコールにふける
- 次々と恋人を作る(恋愛依存)
- 高価な宝石や時計を買いあさりカード破産
などのケースがあります。
後先を考えず、一時の高揚感や満足感によって、不安を解消しようとしているのですが、こういった行動は、一家離散や生活破壊などの深刻な事態にも繋がりかねません。
よって、周囲の人の気配りが大切になってきます。
●感応性の亢進
自他の区別がつかなくなり、相手の気分に簡単に同調してしまいます。
患者さん同士が電話で話をしている時に、もう片方がパニック発作が起きると、もう一人の患者さんも発作が起きる、というようなケースがよくみられます。
次回、「パニック症はなぜ起こるのか」へ続く