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非定型うつ病ってどんな病気?【30】~PTSDと、うつ病・パニック症との類似症状~

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うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。

うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。

「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。

第30回は、「ストレス障害(PTSD)とはどんな病気か」の続き、「PTSDと、うつ病・パニック症との類似症状」をみていきます。

目次

PTSDと、うつ病・パニック症との類似症状

PTSDや、うつ病、パニック症も、ストレスは不安、恐怖をベースに起こる病気です。

恐怖体験のフラッシュバックや、パニック発作が、似通った形であらわれることがあります。

非定型うつ病とPTSDの類似点

●つらい経験がフラッシュバック

非定型うつ病でも、PTSDのような「フラッシュバック」の症状がみられることがあります。

ただ、同じフラッシュバックでも内容はかなり異なり、PTSDでは死に瀕するような激烈な事件の記憶ですが、非定型うつ病では、母親から叱られた経験など、比較的日常的におきる出来事です。

非定型うつ病のフラッシュバックは、病気によって感情が敏感になるためにあらわれるものです。

PTSDのような、命を脅かされるような恐怖症状にはなりません。

●似通ったストレス反応

非定型うつ病とPTSDでもう一つ似ている点は、「ストレスホルモン」といわれる「コルチゾール(副腎皮質ホルモン)」の反応です。

私たちはストレスを感じると、コルチゾールが大量に分泌されます。

そのため、定型うつ病では、このコルチゾールの血中濃度が高まるのですが、非定型うつ病では、反対にコルチゾールが過剰に抑制されてしまいます。

また、似通ったホルモン反応が、PTSDでも見られます。

フラッシュバックの症状があらわれたり、ストレスホルモンの反応が似ているところなどは、非定型うつ病とPTSDには類似点があります。

さらに、非定型うつ病の人は、定型うつ病患者に比べて、幼少時の心的外傷経験が多いという報告があります。

パニック症的なと、PTSD的なパニック症

●PTSDでもパニック発作が

PTSDとパニック症との類似点といえば、まずパニック発作があげられます。

パニック発作は、パニック症の中心的な症状ですが、PTSDでも時々起きることがあります。

PTSDのパニック発作は、ストレス源となった恐ろしい事件と関連するするような事柄に出会うと、息苦しさや動悸などが激しくなり、発作状態になってしまいます。

そのため、PTSDで起こるパニック発作は、パニック症のような何の理由もなく突然起こる発作とは違います。

事件に関連し、その時の心の痛みを誘発するような状況のみで起こります。

発作が起きる理由も分かっているため、発作への恐怖が次の発作を呼び込むような予期不安はほとんどありません。

つまり、パニック発作はあっても、パニック症ではないのです。

●発作の体験がトラウマに…

パニック発作を起こすPTSD患者は「パニック症的」な人といってもいいかもしれません。

一方、パニック症の患者さんにも、まれに「PTSD的」な人がいます。

元々、ストレスに弱い体質のため、パニック発作が死を覚悟するほどひどいものになってしまい、発作自体が心的外傷になってしまうパターンです。

こういう人は、発作と全く関係ない状況にいるのに、自分の意に反してパニック発作が起こったときの様子が視覚的にフラッシュバックであらわれます。

このような発作は、パニック症が急性期にある時で、治療が進んでパニック発作が起こらないようになれば、月日とともに自然に消えていきます。

パニック症でみられる、もう一つのPTSD的症状は、不安・抑うつ発作です。

まず、気分が激しく落ち込み、続いて過去のトラウマになっている出来事がフラッシュバックであらわれることがあります。

不安症は、症状だけみるとこのように似通った姿になることがあるのです。


 
次回、「限局性恐怖症、強迫症、全般不安症」へ続く


 

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