うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
第48回は、「非定型うつ病 回復のポイント ⑥ 飲酒をやめる」の続き、「非定型うつ病 回復のポイント ⑦ 日常生活のリスクに気をつける…その1」をみていきます。
非定型うつ病 回復のポイント ⑦ 日常生活のリスクに気をつける…その1
病気を早期に治し、健康を取り戻すには。生活のリズムを整えることが大切です。
日常生活を見直し、日常に潜んでいる「悪化をまねくリスク」に気をつけましょう。
「タバコ」は不安のリスクを高める
タバコに含まれている「ニコチン」は、吸った直後はアルコールと同じように、抗不安作用があります。
しかしその作用は短く、すぐにリバウンドがきて、かえって不安感が強まり症状を悪化させます。
さらに、ヘビースモーカーは、非喫煙者に比べて、パニック発作の発症危険率が、15.6倍。
広場恐怖症は、6.8倍。
全般不安症は、5.5倍も高くなるという報告もあります。
また、喫煙者は非喫煙者に比べて予後も悪く、三環系抗うつ薬の血中濃度を低下させる、という指摘もありあす。
このように、タバコは心の病気を悪化させるだけでなく、
- 肺がん
- 咽頭がん
- 気管支喘息
- 心臓病
など、数えきれないほど体の病気のリスクになります。
すぐに禁煙しましょう。
ただ、喫煙習慣は依存症の一種なので、理屈では禁煙すべきなのはわかっていても、実行するのはなかなか難しいところがあります。
また、急な禁煙はうつ病を併発したり、悪化させる危険性もあるため、うつ病の人が禁煙する場合は、ゆっくり行う必要があります。
最近は、「禁煙外来」を設置している医療機関も多くなってきていますので、そこで指導を受けながら禁煙すると安心です。
多量のカフェインは不安を誘発「コーヒー」
コーヒーに含まれるカフェインには、眠気をとり、気分を高揚させる作用があるため、非定型うつ病の人の中には、コーヒーを愛飲する人がかなり多くみられます。
しかし、多量のカフェインは不安を誘発する作用があるので、パニック症にうつ病を伴っている人は、コーヒーの飲みすぎに注意しなければいけません。
パニック症の人が、コーヒー5杯分のカフェインを接種すると、恐怖感、吐き気、心悸亢進、震え、落ち着きがなくなる、といった症状が頻繁にあらわれるようになる、という報告もあります。
実際、コーヒーを大量に飲んだあとにパニック発作や不安、不快症状が起きたと訴える人も少なくありません。
コーヒーを飲んで不安になった、ドキドキした、という経験がある人は、大量に摂取するのを避けた方がよいでしょう。
避けた方がいいのはコーヒーだけではありません。
煎茶や紅茶ならいいだろうと思っている人もいるようですが、コーヒーほどではなくてもカフェインは含まれています。
1日に何杯も飲むのは控えましょう。
また、ほうじ茶にも煎茶と同等のカフェインが含まれています。
特に注意したいのが、抹茶と玉露。
あまり日常的には飲まないかもしれませんが、これらにはコーヒーよりも多いカフェインが含まれているので気をつけましょう。
コーヒーを飲みたい時には、カフェインを含まない「デカフェ」。
番茶や玄米茶は煎茶よりカフェインが少なく、麦茶にはカフェインが含まれないのでおススメです。
次回、「非定型うつ病 回復のポイント ⑦ 日常生活のリスクに気をつける…その2」へ続く