うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
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第5回は、「非定型うつ病の症状 ① 気分反応性」の続き「非定型うつ病の症状 ② 過眠・過食」をみていきます。
非定型うつ病の症状 ② 過眠・過食
気分の落ち込みが眠気をもたらす「過眠」
過眠は、非定型うつ病を診断する時の重要な症状です。
定型うつ病の場合、「眠れない」睡眠障害に悩まされますが、非定型うつ病では「眠りすぎる」のです。
病的な過眠とされるのは、
※10時間は、昼寝と夜間睡眠の時間を合計したものでもよく、眠っていなくてもベッドにいた時間が10時間以上あるかどうかが判定の基準になる。
非定型うつ病は、侮辱されたり非難されたりすると、(事実ではそうでなくも、本人が「思い込む」場面が多い)、激しく気分が落ち込み、それに合わせて眠気が強くなります。
また、鉛様麻痺(鉛が詰まったように体が重く感じる)が、同時にあらわれることが多いので、起きていられなくなります。
しかし床についてもグッスリ眠れず、真夜中に目が覚めたりするため、熟睡感がなく眠気がダラダラと続き、いくら寝ても寝足りないという状態になっていきます。
こうして、昼間もうつらうつら寝て過ごすことが増えるにつれて、睡眠と覚醒のリズムが崩れ、昼と夜が逆転した生活になっていきます。
さらに、過眠は脳の働きを鈍らせるので、憂うつな気分が一層強まります。
気分の落ち込みが眠気をもたらす「過眠」
「食べる」という行為には、実は心理的なものが大きく関わっているので、うつ状態になると食行動にも影響があらわれます。
定型型うつ病では、食欲がなくなりますが、非定型型うつ病は、逆に度を超して食べるようになります。
これは「何かを口にしていないと気持ちが落ち着かない」という不安感からくるので、食べることを抑えられません。
そして、ほとんどの人は甘いものへの欲求が強くなります。
糖分には、抑うつ感をやわらげる作用があるという学説があります。
甘いものを食べるとインスリンが分泌されて、それにより脳内のセロトニンが増加して、抗うつ薬を飲んだと同じような効果がみられる、という説があります。
そのせいなのか、非定型うつ病の人は、まんじゅう、ケーキ、ドーナツ、クッキーなど、甘いものを次から次へとむちゃ食いします。
なかでも、チョコレートを食べたがる人が多く、これはチョコレートの働き(脳内の神経伝達物質に作用し気分を良くする)が関係しているとも言われています。
しかし、甘いものを食べて気分がよくなるのは一時的なもので、眠りすぎや食べすぎの生活を続ければ、当然のことながら肥満を招きます。
そして、太ってしまった自分への自己嫌悪で気分はますます落ち込んでしまうのです。
過食の目安は…
- 週に3日以上、度を超して食べる
- 特に甘いお菓子などを絶えず食べ続ける
「体重増加」の目安は…
- 1か月の間に、健康時の体重の5%以上(体重が50キロの人で、2.5キロ以上)増えている
次回、「非定型うつ病の症状 ③ 鉛様麻痺」へ続く