うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
第50回は、「非定型うつ病 回復のポイント ⑦ 日常生活のリスクに気をつける…その2」の続き、「非定型うつ病 回復のポイント ⑧ マインドフルネス『腹式呼吸』」をみていきます。
目次
非定型うつ病 回復のポイント ⑧ マインドフルネス「腹式呼吸」
ストレスは、うつ病発症のリスクになるだけでなく、回復を遅らせたり、再発の誘因にもなったりします。
入浴法や呼吸法など、自分なりの解消法を持っている人はストレスにも負けません。
緊張状態を自分でほぐす方法を見つける
強すぎるストレスは、うつ病や不安症の発症に大きく関わっています。
また、パニック発作の引き金になったり、症状の悪化や再発の誘因になることもあります。
適度なストレスは誰にでもあり、生体にとって悪いものではありませんが、過度なストレスはによって生体のバランスが失われると、心身に悪影響を及ぼします。
そのため、ストレスを溜め込まず、上手に発散させる生活が良いとされています。
ストレスは、「なくそうなくそう」と意識すると、そう考えること自体がストレスになってしまいます。
ストレスのことで頭をいっぱいにせず、発送の転換をするなど工夫をして、ストレスが大きくなる前に解消するようにしましょう。
心を元気にする「マインドフルネス」
「マインドフルネス」とは、元々「心に留める」「注意をする」という意味の言葉で、現在はストレス緩和プログラムの名前として知られています。
アメリカで始まったこの方法は、常に「いま」という瞬間を意識する訓練で、「いま」を一生懸命生きる練習です。
不安は、過去の出来事を思い出して悔んだり、まだ起こってもいない未来を心配することから生じます。
悩みや不安というのは、自分の脳内で引き起こす考えや想念を元にした感情(陰性感情)なので、「いま」に集中し、過去を悔んだり未来を悩んだりしなければ、不安は生じない、というわけです。
そのために昔から行われているのが「腹式呼吸」です。
息を吸うことと、吐くことに意識を向けて集中し、自分のおなかがへこんだりふくらんだりする感覚をしっかり感じながら、ひたすら「いま」の状況に意識を集中します。
この呼吸は、マインドフルネスの基本になります。
腹式呼吸をマスターしてどこでもリラックス
腹式呼吸をすると、リラックスの脳波「α波」が増えて、精神の安定や、血圧の上昇抑制、脳の活性化など、さまざまな効果があるといわれています。
マインドフルネスだけでなく、自立訓練法など、リラクセーションの呼吸法は全て腹式呼吸です。
パニック発作が起こった時も、まず腹式呼吸をして呼吸を整えます。
ゆっくり息を吸い、ゆっくり息を吐き、呼吸が深まることで心も安定します。
いつでもどこでもできる呼吸法として、ぜひマスターしておきたい呼吸法です。
その他のストレス解放の工夫
夜の入浴
心の緊張は、体をリラックスさせることでほぐしていきましょう。
誰でも簡単にできるもが夜の入浴です。
40度くらいのぬるめおお湯に20~30分浸かって、一日の疲れをとってから休むようにします。
湯の刺激が、全身の血行をよくし、体に溜まった疲労物質の代謝を促してくれます。
また、副交感神経が優位になり、心の緊張もほぐしてくれます。
朝のシャワー
シャワーだけでは体の芯まで温めないので、夜の疲労回復には向いていないのですが、朝浴びるのは良いしょう。
ウォーキングなど、軽い汗をかいたあとにも向いています。
温水シャワーのあとに冷水シャワーを浴びると自律神経が整います。
生活環境への気配り
健康な人ならそうでもないのですが、うつ病や不安症の人にとっては、ストレスの元になってしまうことがあります。
例えば、蛍光灯ですが、光のちらつき(フリッカー)がストレスになるといわれています。
ちらつきが少ない、インバーター式蛍光灯や白熱灯に変えるといいでしょう。
次回、「非定型うつ病 回復のポイント ⑨ マインドフルネス『瞑想』」へ続く