うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
第54回は、「非定型うつ病 回復のポイント ⑪ マインドフルネス『日常生活』」の続き、「非定型うつ病 回復のポイント ⑫ 内観法」をみていきます。
目次
非定型うつ病 回復のポイント ⑫ 内観法
内観法の目的は、「どんな境遇にあっても、幸福に生きることができる心境になること」です。
自分を深く、客観的に見つめる方法を身につけて、気持ちを安定させましょう。
感情にとらわれず、客観的に自分をみつめる
自分と他人を比べたり、他人の評価を気にしていると、本当の自分に気づくことはできません。
なぜなら、自分の主観や感情でものを見ているからです。
本当の自分を知るためには、客観的に自分をみつめることが必要です。
「内観法」は、客観的に自分や物事をとらえ、本当の自分を知るための方法です。
本当の自分を知ることで、それまでとらわれていた自分の心から解放され、それまでとは違うものの捉え方、新しい発見、気づきができるようになります。
その結果、気持ちの安定、意欲の向上、対人関係の好転にもつながっていきます。
内観法は、医療の現場でも実践され、不安症、抑うつ状態などの他、不登校、家庭内暴力、アルコール・薬物依存などに効果があることがわかっています。
まず集中内観で自分を見つめる目を養う
内観には、「集中内観」と「日常内観」の2つがあります。
「集中内観」とは、研修所に1週間程度宿泊して集中的に行うもので、内観の基本をしっかり身につけることができます。
研修中は、電話やスマホなど外部からの刺激は全て断たれ、朝から就寝までの食事、トイレ、入浴といった時間をのぞいて、ずっと内観を行って過ごします。
1~2時間ごとに、5分程度の指導者の面接がありますが、面接者は調べたことの報告を聞くだけで、批評はしません。
日常内観は通勤・通学途中でもできる
集中内観で自分をみつめる方法を身につけたら、日常生活を送りながら、自分で行う「日常内観」を続けていきます。
方法さえしっかり身につけば、通学・通勤途中、就寝前などの時間を利用して行えるようになります。
人によっては、集中内観でうまく自己発見できない人もいますが、日常内観を続けることで成功する場合もあります。
集中内観は日常内観の練習にあたるものなので、それだけで終わらせず、日常内観の習慣をつけることが大切です。
もし、集中内観のために1週間休暇がとれなければ、できるだけ外部から刺激を避けるようにして部屋にこもり、最初から一人で行う方法もあります。
ノートを用意し、記録をつけるようにしましょう。
内観の方法
1)楽な姿勢で座る。
2)母(または母がわりの人)に対して、以下の3つの点について具体的な事実を調べる。
①世話になったこと
②世話をして返したこと
③迷惑をかけたこと
※生まれてから小学校低学年まで、小学校高学年、中学、高校、○歳まで、というように時代を区切って過去から現在まで調べる。
※一般的に母からスタートするが、両親に対して否定的な感情が強いい場合は、他の人から始める場合もある。
3)父、祖父母、兄弟姉妹、配偶者など、身近な人に対して、2)と同じように調べる。
4)3)が一通り済んだら、また母に戻る。
次回、「非定型うつ病 回復のポイント ⑬ アサーション」へ続く