うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
第55回は、「非定型うつ病 回復のポイント ⑫ 内観法」の続き、「非定型うつ病 回復のポイント ⑬ アサーション」をみていきます。
目次
非定型うつ病 回復のポイント ⑬ アサーション
過不足のない、適切な自己表現ができていれば、周囲の人とよいコミュニケーションがとっていけます。
目指すのは、「いつでも」「誰に対しても」「同じように」自己表現できることです。
自分を上手に表現して良好なコミュニケーションを
ストレス社会の中でも、学校、職場、近所などでの人間関係によるストレスは大きなものです。
きちんと自己表現をして、スムーズにコミュニケーションがとれるようになれば、そのストレスも軽減に繋がります。
「アサーション」は、コミュニケーションの技法のひとつで、相手も自分も大切にして、よい人間関係を築こうとするものです。
「自己表現」「自己主張」などとも言われます。
このアサーションの考え方は、自己表現のタイプを、
- 不十分な自己表現
- 過剰な自己表現
- 適切な自己表現
の3つに分けます。
まず、自分が日頃どんな自己表現をしているか振り返ってみましょう。
不十分な自己表現【非主張的な自己表現】
相手を優先し、相手に合わせる自己表現です。
相手を尊重しているようですが、自分の気持ちを押し殺していれば、恩着せがましくなったり、恨みがましい気持ちになったりします。
自分に正直でないのは、相手に対しても率直ではない、ということ。
この表現方法では、他人任せになったり、卑屈な態度をとってしまうことにも繋がりかねません。
不満が溜まっていけば、人付き合いが面倒になり、人を避けるようになることもあります。
過剰な自己表現【攻撃的な自己表現】
相手のことは全く考えず、自分の言いたいことをはっきりと伝える自己表現です。
自分が何でも正しいと思い込んでいて、相手の話をあまり聞かず、一方的に批判したり、皮肉を言ったり、怒ったりすることもあります。
そのため、相手を傷つける場合も多く、周囲の人から嫌われて孤立しやすい傾向にあります。
例え口調が優しくても、自分の主張を押し通すならこのタイプです。
適切な自己表現【アサーティブな自己表現】
相手も自分も大切にするのが適切な自己表現です。
まず、自分の気持ちや考えを正直に伝えます。
「私」はこう思う。
と、私を主語にするのが1つのポイントです。
その上で、相手の考えもきちんと受け止めます。
意見が食い違っても相手を否定せず、お互いの気持ちを素直に伝え合い、話し合うことで、共に納得できる結論を出すことが期待できます。
適切な自己表現をするために
自分の気持ちを正確に把握しよう
世間の常識、思い込みなどに惑わされて、自分で自分の正直な気持ちに気づいていない場合も多いものです。
相手の話をよく聞こう
受け身だけでなく、積極的に相手の話を理解しようとする姿勢が大切です。
相手の反応を気にしすぎないようにしよう
相手にどう思われているかを気にしていると、自分の素直な気持ちは伝えられません。
「NO」はきちんと「NO」と伝えましょう。
意見の食い違いを恐れないようにしよう
他人と意見が違うのは当然のこと。
意見を言い合い、歩み寄ることを考えて。
失敗を恐れないようにしよう
決定的な失敗をする状況はそうそう訪れません、
結果を気にすることなく、チャレンジする気持ちで。
言いたいことを適切に伝える表現方法を学ぼうう
相手との関係性、その場の状況により、適切な表現は異なります。
いろいろな人と付き合い、様々な場所に出かけることも、表現方法を広げるのに役立ちます。
自分の周りに壁をつくらないようにしよう
自分をオープンにして、自分を知ってもらわなければ、よいコミュニケーションは成立しません。
よい表現方法の学び方
テレビドラマなどを見ている時に、手元にノートを用意しておきます。
そして「こんな時にはこう言えばいいのか」と思える表現を聞いたら、あとで使えるようにそれを書いてまとめておきます。
特に窮地に陥った時のやりとりをしっかり学ぶと良いでしょう。
次回、「パニックが起こっても慌てない対処法」へ続く