皆さんは何かに「ハマった」経験はありますか?
スマホのゲームやSNSに熱中してつい夜更かしをしてしまった。
パチンコで今月の小遣い全部使ってしまった、などなど…。
人は何かしらの「モノ」や「コト」など、「ハマった」経験があると思います。
ただ、中にはその「ハマる」が度を超してしまう場合があります。
それが、いわゆる「依存」。
「依存」により社会生活に支障が出ている状態を「依存症」といいます。
「依存症ってどんな病気?」では、依存症とはなにか、回復するためにできることなどについて、詳しく解説していきます。
第11回は、「ものへの依存」の続き、「違法薬物」についてみていきます。
目次
違法薬物
中枢神経系を興奮させる作用を持つ薬物、いわゆる「アッパー系ドラッグ」の代表は、日本の場合、メタンフェタミン…いわゆる覚せい剤です。
中枢神経抑制薬、いわゆる「ダウナー系ドラッグ」の代表格はモルヒネやヘロインなどのオピオイド、狭義の麻薬ですが、近年検挙者が増加している大麻も抑制作用がみられます。
【アッパー系ドラッグ】覚せい剤依存者の多くは40~50代
覚せい剤(メタンフェタミン)は、第二次世界大戦時には「戦力増強剤」として軍隊で使用されており、戦後も「ヒロポン」という名称で市販されていたというのは有名な話です。
取り締まりの対象になったあとも密売が続き、純度の高いものが出回ったせいか、幻覚、妄想、意識障害などを起こす例が増えてきました。
その後、乱用者は減少傾向になったものの、従来の静脈注射ではなく、覚せい剤の粉末をあぶって煙を吸引する方法が広まったことで、新たな乱用者が増えた時期もあります。
依存が進み、結局は効果を得られやすい注射へと移行する人が多くみられました。
現在、覚せい剤依存者の多くは40代以上で、若い世代で新たに覚せい剤を始める人は少なくなってきています。
それでも最多の乱用薬物であり続けているのは、一度はまるとやめるのが難しいことの表れともいえます。
覚せい剤の特徴
神経細胞間の情報伝達に用いられるドーパミンの量を増やすことで中枢神経系の興奮を招きます。
自覚的には絶好調!
薬理作用としては、意欲や気分の高揚がみられます。
心身は臨戦態勢に入ったようなもので、眠気も起こらず、何時間でも活動し続けられるようになります。
不安感が高まりやすい
使用を繰り返すうちに警官感が高まり、周囲の様子と自分がかかえる不安を結びつけるなど、考え過ぎの傾向が目立つようになります。
幻聴、被害妄想など
使用を中止すれば消えますが、繰り返すうちに慢性化することも。
脱力してぐったり
薬理作用が切れたあとは疲労感、脱力感が強く、寝込んだりもしますが、身体的に苦しい症状はほとんど出ません。
使用時の高揚感のみが心に残り、使用を繰り返しやすくなります。
アッパー系ドラッグのいろいろ
アッパー系ドラッグには次のようなものがあります。
コカイン
南米のアンデス山中などに自生するコカの葉に含まれる成分の一つ。
作用はすぐに現れすぐに消える。
短時間で繰り返し使用するうちに、精神依存が形成されやすい。
覚せい剤(通称シャブ、スピード、エス、アイス、クリスタルなど)
日本ではメタンフェタミンが多いが、似た化学構造のアンフェタミンという物質もある。
MDMA(通称エクスタシー)
化学構造は覚せい剤に似ており、中枢神経系を興奮させる働きをする。
幻覚薬でもある。
作用が予測しにくい幻覚剤
五感に影響し、知覚の変容を引き起こす作用をもつ薬物は、幻覚薬、サイケ系ドラッグとも言われます。
作用の現れ方は、使用者の体質や性格、使用状況などによって大きく違います。
拍子抜けに終わったり、錯乱状態が続いたりと予測ができません。
- LSD…強力な幻覚剤。麦に寄生する麦角菌が作り出す成分に由来する
- メスカリン…ペヨーテに含まれる幻覚成分
- マジックマッシュルーム…サイロシビンという強力な幻覚薬成分を含むきのこ。「植物」として扱われ法規制を免れていた時期に社会問題化していたことも。
その他、5-Meo-DIPT(通称ゴメオ、フォクシー)、2Cシリーズ、GHBなどは、2005年ごろまでには、合法ドラッグとして市中に出回っていた。
【ダウナー系ドラッグ】麻薬や大麻は理性的な脳の働きを鈍くする
法律上「麻薬」とされるものにはコカインとLSDなども含まれていますが、狭義の麻薬はモルヒネやヘロインのような中枢神経抑制薬、いわゆるダウナー系ドラッグを指します。
なかでもヘロインは、世界的には乱用薬物の代表格ですが、日本での乱用例は少数です。
大麻は、海外で経験している人も多く、一般住民の生涯経験率は、1.4%というデータがあります。
心理的抵抗感が少ないことから、ゲートウェイ・ドラッグ、つまり、より依存性の高い違法薬物への入り口になる薬物ともいわれます。
反社会的勢力との接触が増える可能性が高いという点で、そうした面もあるでしょう。
また、未成年者の乱用は、うつ病などの精神障害発症のリスクを高めるというデータもあります。
狭義の麻薬、オピオイドの特徴
オピオイドは、中枢神経系や抹消神経系に存在するオピオイド受容体と結合することで、神経活動を抑制する作用を示す物質の総称です。
モルヒネなどは痛みの治療にも用いられていますが、ヘロインは合法的な使用が一切認められていません。
強い抑制作用
理性を司る大脳皮質の働きが抑制されることで多好感をもたらすとされますが、呼吸や血圧の維持など、生命を保つために欠かせない脳幹の働きまで抑制されるおそれがあります。
最強の依存性
心身両面にわたり強い依存性が形成されやすく、なかでもヘロインを断ち切るのは非常に困難です。
ただし、初回使用時には吐き気や嘔吐が勝ることが多いようです。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
耐性が生じ、使用量が増えると死に至る危険性が高まる
大麻の特徴
大麻には、大麻草の花穂や葉を乾燥させたもの(マリファナ)の他、樹液を固めたもの(ハシシ)、大麻オイルなど、さまざまな形態のものがあります。
若い年齢であるほど悪影響が現れやすい
大麻の種類などにもよりますが、基本的には中枢神経系の抑制に働きます。
視覚・聴覚を中心に知覚の変容もみられます。
必ずしも心地よいものとはいえず、不安や抑うつなどが強まることもあります(バッド・トリップ)。
医療現場では、大麻が原因と考えられる精神障害が多いとはいえません。
ただし、若い年齢であるほど精神障害を発症するリスクが高まるおそれがあります。
生活上のデメリットは大きい
大麻の依存性は特に高いとはいえませんが、だからといって安易に試そうとすれば、逮捕され、刑罰を科されたり、長期間にわたり行政からの監視・指導が続くおそれがあります。
厳しい対応をとる学校、職場もあり、生活上のデメリットは大きいといえます。
検挙者数は増えている
大麻取締法違反による検挙者数は、特に若い世代での増加が目立ちます。
大麻取締法違反検挙者数の推移

世界的に分かれる対応
大麻草は世界中に広く自生しており、その繊維や含有成分(THC:テゴロヒドロカンナビノールなど)の薬理作用が利用されきたという歴史があります。
アメリカの一部の州をはじめ、海外では大麻の個人使用を合法としている国や地域もあります。
また、大麻の成分を利用した、難治てんかんの治療薬も登場しています。
一方で、日本は厳しい規制を続けています。
----------
次回、「アルコール」へ続く。
