
皆さんは何かに「ハマった」経験はありますか?
スマホのゲームやSNSに熱中してつい夜更かしをしてしまった。
パチンコで今月の小遣い全部使ってしまった、などなど…。
人は何かしらの「モノ」や「コト」など、「ハマった」経験があると思います。
ただ、中にはその「ハマる」が度を超してしまう場合があります。
それが、いわゆる「依存」。
「依存」により社会生活に支障が出ている状態を「依存症」といいます。
「依存症ってどんな病気?」では、依存症とはなにか、回復するためにできることなどについて、詳しく解説していきます。
第5回は、「何にハマるか」の続き、「ハマる仕組み」についてみていきます。
目次
ハマる仕組み
依存対象となりやすいアルコールや薬物は、何かを体験したかも重要ではありますが、それをどのように体験したかが、ハマりやすさに大きく関係します。
最初から薬理作用に夢中になるわけではない
依存対象になりやすいものや行為は、いずれも脳の報酬系の強化につながります。
しかし、直接的な薬理作用を持つアルコールや薬物であっても、最初に体験した時点で誰もがその効力のとりこになり、必ず依存症に進んでいくというものではありません。
最初に得られる報酬は、多くの場合、人との繋がりを実感できるという社会的な喜びです。
日頃は人との繋がりを感じにくい、楽しいと感じることが少ない人ほど、そのものや行為によって得られた感覚は手放しにくいものでしょう。
「もう一度」が重なり、乱用に繋がっていく場合も多いのです。
最初の報酬は社会的なもの
アルコールでも、いわゆるドラッグでも、初めて体験する時は大抵、誰かと一緒です。
人と繋がる喜びが、依存症の入り口になっていることが少なくありません。
初体験は往々にして拍子抜け
例えば、酒の味を初めから楽しめる人は多くはないでしょう。
いわゆるドラッグも、初めはその効果がよく分からないことが多いようです。
「こんなものか」と感じたり、気分が得悪くなったりすることもあります。
【社会的な報酬】楽しい時間の共有
体験したもの自体の良さはよく分からなかったとしても、一緒に楽しんだという仲間意識は強まります。
人から認められた、人から評価された、という喜びが、報酬系の強化につながっているといえます。
もう1回くらいなら……
繫がりを求める気持ちが強い人、普段はなんでも一人で抱えこみやすい人ほど、「あの時は良かった」という思いが強くなりがちです。
「酒の席の雰囲気が好き」と、アルコールにハマり始める人もいれば、「大したことなかったから、いつでもやめられる」と薬物にハマっていく人もいます。
【薬理作用による報酬】依存対象そのものによる作用
繰り返すうちに、アルコールや薬物そのものの薬理作用に依存が生じやすくなります。
その作用を得ることを目的に使うようになれば、依存が進んでいきます。
「秘密の共有」は強固な繫がりをもたらす
人との絆を深めるのに有効なことの一つが「秘密の共有」です。
そこに、違法薬物が登場することがあります。
普段、「居場所がない」と感じている人が、夜の街やネット空間などをさまよう中で、初めて意気投合する人、ありのままの自分をさらけ出しても大丈夫だと思うような人と出会い、その人から勧められる……そんな風にして違法なものと出会うことが少なくありません。
合法的なものであれ、違法なものであれ、ハマる仕組みは基本的には共通しますが、違法薬物を使い始めるときは、ある意味覚悟が必要です。
だからこそ、それを勧め、一緒に体験する人との絆が深まるように感じやすく、ハマる入口になりやすいのです。
「大切なもの」の順位が変わっていく
対象は何であるにせよ、特定のものや行為を乱用するようになのは、それで得られるメリットが大きいと感じているからです。
どこかの段階で、続けるメリットよりデメリットの方が大きいと気づけば、深みにハマらずに済むかもしれません。
しかし、心の依存が生じると、それを続けること以上に大切なものはなくなってしまいます、
家族、仕事、勉強、健康などは二の次、三の次。
最初の頃に感じていた人繋がる喜びでさえ、意味を失っていきます。
特にアルコールや薬物の場合、誰かと一緒に楽しもうとすると、その分、費用がかさみやすくなります。
余計な出費をするくらいなら、それを続けるための資金にまわそうという発想になりやすいのです。
入口は人との繋がる喜びだったのに、それを続けるために自ら進んで孤立していくようになるのが、依存症に実体です。
深みにはまる流れ
どうも最近、特定の何かにのめり込みすぎていると感じても、そこで引き返せないのが依存症です。
「心の依存」が強まると…
これさえあれば、これさえできればいい、など、自分にとってメリットが大きいと感じ、デメリットが見えなくなっていきます。
探索行動がみられるようになる
依存対象がものであれば、それを何としても手に入れたいと考え、どんな状況でも探し求めようとする行動が見られます。
「それ」が最優先になる
それを得ること、することが最優先となり、自分にとって「大切なもの」の優先順位が大きく変わっていきます。
それでも「まだ大丈夫」と否認する
四六時中そればかりしているわけではないし、やめようと思えばやめられる。
ただ好きなだけ、と考えがちになります。
病的な状態だとは自覚しにくい人がほとんどです。
嘘を重ねる
身近な人に嘘をついてでも、それを続けるための時間をつくろうとしたり、お金を工面したりするようになります。
二次的な問題が起こりやすくなる
仕事や学業などに支障をきたしたり、借金を重ねるようになったり、健康状態の悪化を招いた利するなど、二次的な問題が生じやすくなります。
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次回、「ハマる仕組み」へ続く。
