お役立ち記事 依存症

依存症ってどんな病気?【6】~なりやすさ~

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皆さんは何かに「ハマった」経験はありますか?

スマホのゲームやSNSに熱中してつい夜更かしをしてしまった。

パチンコで今月の小遣い全部使ってしまった、などなど…。

人は何かしらの「モノ」や「コト」など、「ハマった」経験があると思います。

ただ、中にはその「ハマる」が度を超してしまう場合があります。

それが、いわゆる「依存」。

「依存」により社会生活に支障が出ている状態を「依存症」といいます。

「依存症ってどんな病気?」では、依存症とはなにか、回復するためにできることなどについて、詳しく解説していきます。

第6回は、「ハマる仕組み」の続き、「なりやすさ」についてみていきます。

目次

なりやすさ

ものや行為によって、依存を生じさせる力、依存性の強さは異なります。

ただ、それを体験した人が依存症になるかどうかは、依存対象の性質だけで決まるわけではありません。

苦痛をやわらげるものや行為に飽きる人はいない

人は本来、飽きっぽいものです。

快楽を得るだけが目的の行動には、一時は夢中になっていてもそのうち飽きが生じ、別の何かに関心が移るのが通常のパターンです。

しかし、

「これをすると苦痛がやわらぐ」

というものに飽きることはありません。

依存対象となっているものや行為が、本人にとって自分のつらさを取り除いてくれる特効薬として機能していれば、簡単には手放せなくなります、

依存性が強いものは、その性質ゆえに依存症への進みやすいのは確かです。

一方で、買い物のように、大抵の人が日常的に繰り返しているような行為に対してさえ依存が生じうるのは、本人が抱えている要因が大きく影響していると考えられます。

いずれにしても、

「いつでもやめられる」

と思っているうちに、やめられなくなっていくものです。

なりやすさを決める要因

同じ体験をしていても依存症になる人もいれば、ならない人もいます。

それは、依存対象の性質以外にも、なりやすさを決める要因があることを示しています。

依存対象そのものの性質

依存対象となるものには、例えばヘロインのような強い依存性をもつ薬物がある一方、インターネット・ゲームなどのように、多くの人がそれだけに依存することなく楽しんでいる行為もあります。

一般的に依存性が強いものほど依存症を招きやすいと言えます。

依存性薬物の依存性の強さ

本人側の要因

依存症の人にみられる傾向として、下記のようなものが挙げられます。

生きづらさを強く感じている人ほど、特定の依存対象にのめり込みやすく、依存症になりやすいといえます。

  • 自尊心・自己評価の低さ
  • 将来の不安
  • 人間関係のトラブルによる苦情・孤立
  • 社交場面での緊張
  • ストレスの大きい職場環境
  • 精神障害の併存
相性

誰もが同じものに、同じように引きつけられるわけではありません。

対象となったものと本人との相性、さらには入手しやすいものかどうかも影響します。

薬物依存症のかげに心の病気があることも

薬物依存症として治療を受けている人の過半数に、他の精神障害の合併が認められています。

その多くは、精神的な問題が先にあり、その症状の緩和をはかる目的で、アルコールや医師の処方に沿わない薬物の使用が始まっています。

  • 気分障害(うつ病・双極性障害など)
  • PTSD
  • 統合失調症

安心して人に依存できないから、ものなどに依存する

苦痛を抱え続け、生きづらさを感じている人ほど、人に頼らず自分だけで苦痛に対処しようとしがちです。

苦痛への対処法として、依存症が始まっていくこともあります。

カンツィアン(エドワード・J・カンツィアン;アメリカの精神科医)は、

「依存宗の本質は苦痛にある」

としています。

もちろん、つらい思いをしている人が全て依存症になるわけではありません。

「やはり自己責任なのだ」と考える人もいるでしょう。

しかし、自分のつらさに自分の責任で対処しようとした結果、特定のものや行為に頼り、依存症になっていくとも考えられます。

依存症は「自己治療」として始まる?

薬物、アルコールなどの物質依存症者は、自分が抱えている苦痛を自分で治療するために苦痛を打ち消す作用を持つ物質を選び、使用し続ける…。

これは、アメリカの精神科医、エドワード・カンツィアンが提唱した「自己治療仮説」の骨子です。

人に頼らずに苦痛に対処しようとする人ほど、自己治療に向かいやすくなると言えます。

それまでの経験

すべてとはいえませんが、依存症の人は、虐待やいじめなど過去につらい経験をしている場合が多いのは統計的にあきらかです。

心の脆弱性

苦痛の感じ方などはもって生まれた素因も影響します。

つらい体験を重ねることで傷つきやすさを増すこともあります。

環境

つらい体験をしても、安全な環境の中で誰かに止めてもらい、安心感を取り戻すことができれば苦痛は減ります。

安全・安心を得られない、むしろ日常的に安全が脅かされる環境にあれば、苦痛は消えにくくなります。

自己治療の開始

ひとに傷つけられたり、周囲の期待に応えられない自分を否定的にとらえる傾向が強かったりすると、安心して人に依存できません。

自分だけでできる、解決手段を選びやすくなります。

  • 誰かに助けてもらえるような価値が自分にはない
  • 人は裏切る。でも「これ」は自分を癒してくれる

子どもの頃の逆境体験は薬物依存のリスクを高める

覚せい剤事犯者は、一般人より逆境的小児期体験(ACE)の経験率が高く、その傾向は特に女性に強くみられます。

■家庭内に、飲酒などのアルコールの問題を抱えている人がいた
…男性…18.0% 女性…26.1%

■家庭内に、違法薬物を使用している人がいた
男性…10.7% 女性…20.5%

■家庭内に、うつになったり、心の病気にかかったりしている人がいた
男性…13.6% 女性…24.4%

■家庭内に、自殺を試みた人がいた
男性…8.7% 女性…14.1%

■親が亡くなったり離婚したりした
男性…51.6% 女性…58.1%

■家庭内に、刑務所に服役している人がいた
男性…9.2% 女性…17.2%

■母親(義理の母親含む)が父親(義理の父親や母親の恋人含む)から暴力を受けていた
男性…20.8% 女性…30.3%

■家族から、食事や洗濯、入浴など身の回りの世話をしてもらえなかった
男性…5.6% 女性…9.8%

■家族から、十分に気をかけてもらえなかった
男性…15.5% 女性…28.3%

■家族から、殴る蹴るといった体の暴力を受けた
男性…27.9% 女性…39.1%

■家族から、心が傷つくような言葉を言われるといった、精神的な暴力を受けた
男性…23.9% 女性…47.4%

■家族から、性的な暴力を受けた
男性…0.2% 女性…6.4%

大人になってもつらいものはつらい

女性の覚せい剤事犯者は高い割合で、交際相手や配偶者からの暴力(DV)被害を経験しています。

DV被害と、子どもの頃に受けた虐待との関連も指摘されています。

■DV被害の経験率
女性(覚せい剤事犯者)…72.6% 
女性(一般)…31.3%

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次回、「依存症と犯罪」へ続く。


 

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