
皆さんは何かに「ハマった」経験はありますか?
スマホのゲームやSNSに熱中してつい夜更かしをしてしまった。
パチンコで今月の小遣い全部使ってしまった、などなど…。
人は何かしらの「モノ」や「コト」など、「ハマった」経験があると思います。
ただ、中にはその「ハマる」が度を超してしまう場合があります。
それが、いわゆる「依存」。
「依存」により社会生活に支障が出ている状態を「依存症」といいます。
「依存症ってどんな病気?」では、依存症とはなにか、回復するためにできることなどについて、詳しく解説していきます。
第9回は、「刑罰の影響」の続き、「依存症の特徴を知る…歴史的背景」についてみていきます。
目次
依存症の特徴を知る…歴史的背景
元々、依存症といえばアルコールを含めた薬物に対するものと捉えられてきました。
人類とアルコールや薬物との関係の変遷をふり返ってみましょう。
一筋縄ではいかない人類と薬物との関係
依存性薬物の多くは、長らく暮らしの一部として使用されてきた植物に由来します。
その効果を高めようとして改良を重ねた結果、依存性が高まってしまったものもあります。
このような依存性が高い薬物を含め、特定の薬物の使用が犯罪とされたのは、人類と薬物との長い歴史の中では比較的最近のことです。
一方で、アメリカの禁酒法(1920~1932年)のように、弊害が大きいからと法で規制した結果、密売組織が強大化するなど、さらに問題が複雑になっていった例もあります。
人とアルコール、薬物との関係はなかなかすっきりいかないものなのです。
依存性薬物の位置づけの変遷
人類とアルコールや薬物との関係には、長い歴史があります。
今や「社会の敵」と目されている依存性薬物も、歴史を振り返れば全く異なる扱いをされていた時代もあります。
ヒトとサルの分岐点で起きたこと
樹上生活を送っていた祖先の一部に、突然変異によってアルコールを分解できる強力な遺伝子が現れたことが、地上に生活圏を移し、ヒトへと進化する一因になったと言われています。
アルコールが分解される過程でできるアセトアルデヒドには毒性があります。
それを分解できるようになった結果、地上に落ちて発酵した果物を食べてくらせるようになったのだと考えられています。
それぞれの地にあった愛用品
その地に自生する特別な作用を持つ植物は、儀式に使われたり、治療薬や嗜好品として利用されたりしていました。
ペヨーテ
メキシコに自生するサボテンの一種。
幻覚を招きやすい成分(メスカリン)を含む。
コカ
南米のアンデス一帯では、飢えや渇きに苦しまないように神が授けしのとされていた。
大麻
アラブ世界ではポピュラーな嗜好品だった。
あへん
ケシの実から作られる。
宗教的な場で用いられていた他、鎮痛剤としても使われた。
紀元前3400年頃の古代メソポタミアでケシを栽培していたという記録が残っている。
聖なるもの
世界最古とされる宗教施設の遺跡には、酒を製造した痕跡がありました。
アルコールは神に近づくための聖なるものとして宗教的儀式にもちいられ、その後も祭事など特別な飲み物として暮らしの中に広場っていきました。
アルコール自体の殺菌作用や、アセトアルデヒドの毒性が病原体から人々の健康を守るために役立っていたと考えられます。
嗜好品として広まる
生活が豊かになるにつれ、アルコールは日常的な飲み物になりました。
また、植民地の広がりとともに、イギリスでは中国から得た安価なあへんの丸薬が酒の代用品として労働者の間に広まっていきました。
さらに、二度にわたる世界戦争を機に、モルヒネやコカイン、覚せい剤などの使用量が格段に増えました。
医薬品としての開発・利用
19世紀に入り、あへんから抽出されたモルヒネが強力な鎮痛薬として登場。
19世紀末にはモルヒネの改良品としてヘロインが発売されました。
コカの葉から抽出されるコカインは精神医療の場でも用いられました。
また、漢方の生薬の一つでもある麻黄から抽出されるエフェドリンは、今も喘息などの治療に用いられていますが、その「改良」を目指して誕生したのがメタンフェタミン、覚せい剤のい成分でした。
一部は取り締まりの対象に
アルコールや薬物が大量に消費されるようになるにつれ、その弊害も目立つようになりました。
20世紀以降、アメリカでは一時期禁酒法が施行されたほか、各地で特性の薬物の個人使用を犯罪として取り締まる法律が制定されていきました。
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次回、「ものへの依存」へ続く。
