最近でも、女性タレントが夫のDVを訴えるなど、何かと聞くことが多い「DV(ドメスティック・バイオレンス)」。
しかし、どこからがDVになるのか、よく分からない…という人も多いのではないでしょうか。
認識がないけれど、実はDV被害を受けていた…なんてこともあるかもしれません。
今回は、そんなDV(ドメスティック・バイオレンス)について詳しくみていきます。
目次
DVとは?
DVとは、英語で【domestic violence】。
直訳すると、「家庭内暴力」となります。
明確な定義はありませんが、日本では、夫から妻、妻から夫、親から子、子から親、兄弟間など家庭内や、恋人関係、または過去に恋人であった人からの暴力という意味合いが多いです。
男性から女性への暴力、というイメージの方が強いかもしれませんが、最近では女性から男性への暴力も増えているようです。
DVは文字通り、「家庭内のこと」として、今までは軽視されていたのが現状です。
しかし、最近ではDVが深刻な問題として取り上げられるようになってきました。
実際、DV被害者は、身体への傷だけでなく、心にも大きな傷を負っているからです。
心の傷はトラウマになったり、うつ病などを引き起こす原因となる場合があります。
DVは身体的暴力だけではない
「DV=身体的暴力を振るう」というイメージも大きいと思いますが、それだけではありません。
精神的暴力、経済的暴力、性的暴力などもDVに含まれます。
DVは人権侵害でもあり、犯罪でもあります。
また、どんどんエスカレートしていく傾向にあるため、早めの対応が重要になってきます。
DVは昔の日本社会が影響していた!?
昔の日本は、「男性は外で働き、女性は家の中を守る」という考えがありました。
「妻は夫に従うもので、家の中のことは外に出すべきではない」。
また「外からも家庭のことに介入すべきではない」とされていました。
そういった社会背景もあり、今までDVについて公になっていませんでした。
しかし、最近では男女平等という考えが広がり、DVが問題視されるようになってきたのです。
さまざまな形態のDV
一口に「暴力」といってもさまざまな形が存在します。
身体的暴力
殴ったり蹴ったりするなど、直接なんらかの力を行使するもの。
- 殴る、蹴る
- 刃物は包丁などの凶器を突きつける
- 物を投げつける
- 髪を引っ張る
- 首を絞める
- 引きずりまわす
- 衛生を省みない
- 食事を制限する、または与えない
- 必要な冷暖房や服装を与えない
- 必要な医療を与えない
など。
これらの身体的暴力は、刑法第204条の傷害や第208条の暴行に該当する違法な行為で、たとえそれが配偶者間で行われたとしても処罰の対象になります。
精神的暴力
心ない言動などのより、相手の心を傷つけるもの。
- 大声で怒鳴る
- 交友関係を制限したり、細かくチェックする
- 無視する
- 人前でバカにする
- 大事なものを捨てる、壊す
- 「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」という
- 子どもに危害を加えると言って脅す
- なぶる素振りや物を投げつけるふりをしておどす
など。
精神的暴力によって、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に至るなど、刑法上の傷害とみなされるほどの精神障害に至ると、刑法上の傷害として処罰されることもあります。
経済的暴力
- 生活費を渡さない
- 外で働くことを妨害する
- 洋服などを買わせない
- 家庭の収入について何も教えない
- 家計を厳しく管理する
など。
性的暴力
嫌がっているのに性的行為を強要する、中絶を強要する、避妊に協力しないといったもの。
- 脅しや暴力的な性行為
- 性行為の強要
- 避妊に協力しない
- 中絶の強要
- 見たくないポルノビデオやポルノ雑誌を見せる
など。
夫婦間での性交でも、強要すると刑法第177条の強制性交等罪に該当する場合があります。
DVの定義まとめ
DVは身体的な暴力だけではなく、経済的暴力、精神的暴力、性的暴力も含まれています。
これらのさまざまな形の暴力は、単独で起きることもありますが、多くは何種類かの暴力が重なって起こっています。
DVは被害者の心に大きな傷を残します。
そして、DVは犯罪でもあるのです。
「家庭内のことだから…」と一人で抱え込まずに、地域の相談支援センターや警察の相談窓口に相談してみましょう。
参考:
内閣府ホームページ,男女共同参画局,ドメスティック・バイオレンス(DV)とは,暴力の形態