
皆さんは何かに「ハマった」経験はありますか?
スマホのゲームやSNSに熱中してつい夜更かしをしてしまった。
パチンコで今月の小遣い全部使ってしまった、などなど…。
人は何かしらの「モノ」や「コト」など、「ハマった」経験があると思います。
ただ、中にはその「ハマる」が度を超してしまう場合があります。
それが、いわゆる「依存」。
「依存」により社会生活に支障が出ている状態を「依存症」といいます。
「依存症ってどんな病気?」では、依存症とはなにか、回復するためにできることなどについて、詳しく解説していきます。
第24回は、「ハームリダクション」の続き、「薬物乱用と刑罰」についてみていきます。
目次
薬物乱用と刑罰
違法薬物を使用している人の場合、販売を目的としない単純所持・使用であっても、刑罰が科せられる可能性がありますが、具体的な司法対応の進め方は少しずつ変化してきています。
収容期間は短縮される方向に
日本では、今なお「末端使用者への徹底した取り締まり」は、薬物乱用防止の戦略のひとつとされています。
しかし、薬物依存症の入所者では、刑期満了で刑務所を出所した直後に再犯が起こりやすく、また、社会と隔離された施設への入所回数が多い人ほど再犯率が高まることが知られています。
こうした実態をふまえ、近年は、刑事施設に収容する期間を短くし、そのかわり、地域社会の中で適切な治療と社会復帰支援を行うことで、再犯を防止しようという流れも生まれています。
「甘やかし」とは別のもの
「使用ゼロ」ではなく、二次元的な「害(ハーム)の低減(リダクション)」を目指す理念に対し、「犯罪者を甘やかすだけ」「示しがつかない」などという声もあります。
しかし、やめない、やめられない人を排除するのではなく、「害を減らす」という態度で関わり続けることが、結果的には社会全体の問題を減らすと考えられます。
依存症薬物の使用量を減らすために厳罰化が進む
1960年代以降、国際社会が手を結び、流通ルートを断つとともに、所持・使用も厳しい取り締まりの対象にするなど、世界的に依存性薬物に対する厳罰化が進みました。
結果は…
・生産量・使用量ともに増大
・使用者を犯罪者として扱うことにより、治療関係が途切れ、支援に繫がりにくくなる
・健康問題、家族関係の崩壊、掲載的な問題など、社会的影響も深刻化
「害」の低減をはかるハームリダクションの登場
ハームリダクションは、「違法であるかどうかに関わらず、精神作用性のあるドラッグについて、必ずしもその使用量は減らなくても、その使用によって生じる健康的・社会的・経済的な悪影響を減少させるために行われる政策・プログラムと、その実践」と定義されています。
・使用者を社会的に排除するような政策はとらない
・科学的根拠に基づく政策、治療プログラムの実践
・恐怖感を植え付けるだけの予防教育はしない。薬物依存症を健康問題のひとつとらえ、特殊なこととして強調しない など
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薬物依存症によって生じる諸問題が減る
具体的な取り組み例
日本では当たり前のように受け止められている罰則主義ですが、世界的にはハームリダクションを採用する国が増えています。
「安全なもの」への切り替え
静脈注射を用いた薬物使用が問題になっている国では、注射器の使いまわしによる感染を防ぐために注射室の設置、無償注射器交換サービスなどを行うほか、離脱が難しいヘロイン依存者に対し、より安全な薬物を提供する代替療法がおこなわれています。
依存が続いていても見放さない
断薬を条件としない住宅サービスや就労プログラムの提供、安全な薬物使用法や過量摂取した場合の対応策についての情報提供など、「やめられない人もいる」という前提で、公的支援が行われているといわれます。
薬物依存症のみに限ったこと?
ハームリダクションは、依存対象が違法か合法かで線引きし、違法薬物を使用する人を犯罪者として扱うことで生じる弊害をなくすために生まれた理念であり、基本的には薬物依存症に限定した考え方です。
しかし、近年は「害を減らす」取り組み全般を指すこともあります。
例えば、海外の事例で、アルコール依存症の貧困者と食事と少量の酒を提供し、健康状態の改善をはかると共に支援に繋げる、といった取り組みも、ハームリダクションの一例といえます。
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次回、「まわりの人ができること…起こりやすいこと」へ続く。
