
皆さんは何かに「ハマった」経験はありますか?
スマホのゲームやSNSに熱中してつい夜更かしをしてしまった。
パチンコで今月の小遣い全部使ってしまった、などなど…。
人は何かしらの「モノ」や「コト」など、「ハマった」経験があると思います。
ただ、中にはその「ハマる」が度を超してしまう場合があります。
それが、いわゆる「依存」。
「依存」により社会生活に支障が出ている状態を「依存症」といいます。
「依存症ってどんな病気?」では、依存症とはなにか、回復するためにできることなどについて、詳しく解説していきます。
第28回は、「家族ができること」の続き、「適切に関わる」についてみていきます。
適切に関わる
周囲の人の「回復して欲しい」という思いがうまく伝われば、本人が相談・治療の場に出向く力になります。
上手な伝え方のコツを学ぶことが大切です。
耳をふさぎにくい伝え方に変えていく
「やってない」と言って、こっそり続けている、嘘をついたり、約束を忘れたり、借金をしたり、部屋を散らかしたまま寝込んでいたりする様子に、黙っていられないと思うのは当然です。
本人も、自分の行動が褒められたものではないと重々承知しています。
しかし、責められている、否定されていると感じると、本人はますます依存的な行動に向かいがちです。
正しい忠告であればあるほど耳をふさぎたくなるでしょう。
暴言、暴力で対応しようとするかもしれません。
関係はどんどん悪化していきます。
だからといって、そばにいる人が言いにくいことを言わずに我慢し続けた方がよいというわけではありません。
伝えたいことは伝えていった方がよいのです。
本人が耳をふさがずに聞けるよう、伝え方を工夫していくことが大切です。
望ましい行動を引き出すコツ
以下に示す本人と話す時の注意点は、CRAFTという依存症者の家族向けに開発されたプログラムを参考みしたものです。
◎本人がち込んだり、不安になったりしている
などといった場面で、意識的に取り入れてみましょう。
対話の進め方次第では、本人が回復に向けたスタートを切りやすくなります。
簡潔に
伝えたいことは、なるべく簡潔に話すようにするとよいでしょう。
「私(I)」を主語にする
「あなたは〇〇だ」という言い方は、断定的で攻撃性を感じさせます。
主語を「私」に変えることで攻撃性がやわらぐだけでなく、発信者自身、自分がどう感じ、なにを伝えたいのかが見えてきます。
〇…〇〇してくれると(私は)嬉しいな
肯定的に
自分を否定する言葉は聞きたくない、否定されるとわかっていれば話したくないのは誰しも同じではないでしょうか。
トラブルが発覚した時など、とても肯定的にはなれないと思う場合でも、まずは肯定的な言葉から対話を始めてみましょう。
〇…今の段階でわかってよかったよ
具体的に提案してみる
「やめたほうがいい」「もうしないで」というだけでなく、そのために役立ちそうな具体的な方法を提案してみましょう。
思いやりをもって
依存症がもとで失敗したり、まわりの人からの厳しい目などにさらされたりしたときは、本人も動揺しています。
自業自得と突き放すのではなく、本人の気持ちへの理解を示すことで、対話は進みやすくなります。
〇…気持ちはわからないでもないな
「上手な伝え方」で働きかけを続ける
依存症の二次的な問題として生じるトラブルに対応していくだけでは、根本的な解決にはなりません。
まずは、そのことを認識しておきましょう。
トラブルを抱え、本人が自分の行いを後悔しているときは、治療・回復の場に向かわせるよい機会でもあります。
焦らず、支援者のアドバイスを受けながら「上手な伝え方」で働きかけていきます。
守りながら手は出さない
放っておけば命にかかわる恐れがあるならば、手助けは必要です。
過量服薬により意識障害を起こしたときに救急車を呼ぶ、酩酊して戸外で寝入り凍死する恐れがあるいので室内に運び込む、などといった場合です。
そうでなければ、基本的には「応援」にとどめます。
迷うことは支援者や当事者家族にまず相談
個々の状況は違っても、依存症が進むにつれて起こりやすいトラブルは似通っています。
対応に迷うことは、支援者や似た経験をしてきた仲間に相談してみましょう。
線引きは守る
本人が起こしたトラブルは、本人に解決してもらうのが基本です。
ただし、「ここに連絡するといいみたい」などと、トラブル解決に向けた具体的な提案はしていくとよいでしょう。
応援はする
小言や叱責は控えてもコミュニケーションは必要です。
挨拶(おはよう・おやすみ・おかえりなど)は絶やさず、応援したいという気持ちは上手に伝えましょう。
具体的なトラブル解決の基本
トラブルの内容によって、力を借りるべき機関や職種はさまざま。
依存症相談員などを尋ね、情報をもらうのもよいでしょう。
警察から連絡があったとき
違法薬物の所持・使用で逮捕された、事故をおこした、などの場合、警察から家族のもとに連絡がくることもあります。
法に従って手続きが進められていくので、家族ができることは限られますが、場合によっては弁護士に相談するとよいでしょう。
借金の返済
連帯保証人になっていなければ家族に返済義務ありません。
本人に返済させます。
返済計画を練るにせよ自己破産をするにせよ、専門家に相談しながら進めましょう。
家族への暴力
DVや虐待があるようなら、それぞれ専門の相談窓口を利用するか、依存症に関する相談とあわせて、依存症相談員に状況を伝えてください。
本人の仕事先への対処
遅刻、欠勤などの連絡は本人に任せましょう。
「連絡しておくといいと思う」などと促すのはかまいません。
本人の体調の悪さ
「心配している」という気持ちは伝えた上で、場合によっては受診先・受診の仕方を示すとよいでしょう。
緊急を要する状態でなければ、その先どうするかは本人に任せます。
過去は変わらない。これからを考える
依存症について学び始めた家族の中には、自分が依存症に追い込んだのではないか、自分の対応が本人の状態をますます悪化させたのではないか、などと悩み、苦しむ人も少なくありません。
しかし、誰か一人のせいということはなく、悩んだところで過去は変わりません。
「ああすればよかった」という思いは、これからよりよい対応を続けるための原動力にしていきましょう。
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次回、「家族自身のケア」へ続く。
