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自己肯定感を高めて人生をもっと楽に!【37】 ~【自己認知のトレーニング③】課題の分離~

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突然ですが、あなたにとって「幸せ」とはなんですか?

  • お金持ちになること
  • 玉の輿にのること
  • 幸せな結婚をして子供を育てること
  • 大きな会社に入って安定した職があること
  • 商売やスポーツで大成功して有名になること

これらの目的は達成すると嬉しいものです。

しかし、「自己肯定感」が低いと、これらの目的を達成しても幸せを感じられません。

一次的には嬉しいかもしれませんが、喜びが長続きしないのです。

「自己肯定感を高めて人生をもっと楽に!」では、自己肯定感とうまく付き合う方法を身につけ、幸せな毎日を過ごすための方法をご紹介していきます。

第37回は、「【自己認知のトレーニング②】レファレント・パーソン」の続き、「【自己認知のトレーニング③】課題の分離」を解説していきます。

目次

【自己認知のトレーニング③】課題の分離

自己肯定感が低下すると、ネガティブな側面に焦点があたり、ネガティブな負の感情のループに陥ります。

そんな時に、

「そもそも、この問題は本当に私がここまで、モヤモヤと悩むものなのだろうか」

と自己認知することが必要になります。

そこで役に立つのが、「課題の分離」というトレーニングです。

「課題の分離」は、その原因がどこにあるのかを仕分けていく心理テクニックで、アドラー心理学の中心をなす理路の一つです。

このテクニックで課題を仕分けることで、

「自分にとって今、どれくらい重要度が高い課題なのか」
「本当に自分が悩んで解決すべき課題なのか」

が明確になり、心がスッキリと整理されるだけでなく、これからなすべき道しるべが見えてきます。

以前、パワハラ傾向の上司が異動してきたことで、自己信頼感を弱めてしまった女性の例をご紹介しましたが、彼女がカウンセリングですすめられたのが「課題の分離」でした。

まず、次の記入例のように、ワークシート式に「今、抱えている課題、悩み」を箇条書きにしてもらい、それぞれに番号をつけて、①は上司の問題、②は私の課題、と仕分けていきます。

「課題の分離」とは、「最終的にどっちの責任なのか?」と、責任の所在をはっきりさせていくテクニックです。

これを日常的に行っていくのが「課題の分離シート」のトレーニングです。

根底にあるのは、アドラー心理学の「他人の課題には踏み込む必要がない」という考え方です。

例えば、あなたが異動になり、知り合いのいない職場で働くことになったとします。

転校直後や初参加の勉強会、合コンなどでも同じですが、「初めまして」の状況下で、私たちは不安を感じます。

「どう思われるかな?」
「変わった人だと思われないかな?」
「自己紹介の挨拶でこんなこと言ったら雰囲気を壊すかな?」

これらはいずれも「他人にどう思われるか?」という不安です。

それらを気にするあまり、自己信頼感や自己効力感を失って、自己肯定感を低下させてしまうケースは多々あります。

そんな時に役立つのが「課題の分離シート」です。

感じている不安の正体を「自分の課題」と「他人の課題」に分けていきます。

異動した先で、「自分がどう思われるか?」は、「他人の課題」であって基本的にあなたにはどうすることもできません。

つまり、「相手が自分のことをどう思うか?」は、あなたが不安に感じ、真剣に悩むべき課題ではない、ということです。

要するに、考えても意味のないこと、と整理することができるのです。

考えても意味がないことは考えるのをやめよう、と自らが決定する。

このことは、あなたの自己肯定感を大いに高めてくれます。

相手に「NO」といえる自分になる

逆に考えるべき「自分の課題」は、「異動した先でしっかりとしたパフォーマンスを発揮するために、何をすればいいのか?」ということです。

それに対して、「周囲がどう感じるか?」は「他人の課題」だと割り切りましょう。

「私は私、あの人はあの人」という意識を持てると、自分と周囲との間に境界線をひくことができるようになります。

それはあなたの心を守り、自分の考えを行動に移す後押しとなって、自己肯定感や自己効力感、自己決定感が向上して、自己肯定感も回復していくのです。

アドラーは、「周りの顔色を見て、物事を選択する姿勢は、責任の放棄だと戒めています。

課題の分離を行うことで、「自分が思う、最善の選択をすること」に集中できるようになります。

自分が考え、選択したからには、周りがどう思おうと関係ないですし、最終的に自分が決めたこと、つまり「内発的な動機付け」からきたものなので、潔く行動し責任を持つという「自立」がはかれます。

自分は自分、相手は相手。

必要であれば、NOと言うことができるようになります。

それはつまり、自分の行動に深淵が伴うようになる、ということです。

信念の伴った行動によって成果を出すことができれば、自己有用感も高まり、自己肯定感の木を強く育んでいくことができます。

さらに、課題を分離して、「自分のできるベストなこと」を思えるようになると、自然と視野が自分と他人を含めた全体へと広がり、自分は全体の一部であり、全体の中の一員が自分なのだ、というふうに、大きな視野で物事を捉えられるようになります。

このように、ベストの選択をして行動することが、結果的に周囲にも好影響を与えます。

どんな時でも何かの犠牲になる必要はない

この心理テクニックに通じる言葉が、フレデリック・パールズが提唱する「ゲシュタルト療法」にもあります。

ゲシュタルト療法では、

  • 何かの犠牲になることなく自分を大切にすること
  • その上で他人を尊重すること
  • 健全な人間関係はその上で成立する

としてします。

自己肯定感が低下して、人間関係に悩む人には有用なゲシュタルト療法の詩があります。

ゲシュタルトの祈り

私は私のために生きる。あなたはあなたのために生きる。
私は何もあなたの期待に沿うためにこの世に生きているわけじゃない。
そして、あなたも私も期待に沿うためにこの世にいるわけじゃない。
私は私。あなたはあなた。
でも、偶然が私たちを出合わせるなら、それは素敵なことだ。
たとえで会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。

この詩を読み、課題に分離トレーニングを行うことで、人間関係や仕事、人生の選択が楽になり、生きるのが楽なったという人も多いようです。

「課題の分離」のトレーニングは、自己肯定感が低下し、特に対人関係でつまずいた時に効力を発揮します。

周囲の環境が変化した時、定期的に行いましょう。

人間関係の整理ができ、良好な人間関係へと移行するでしょう。

その時、もっと自己固定感を継続的に高めるために「ゲシュタルトの祈り」を併用して、「自分に○!」「あなたの周囲にも〇!」と言えるようになるでしょう。


 
次回、「【ステップ2】「自己受容」の3つのトレーニング」へ続く


 

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