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非定型うつ病ってどんな病気?【32】~パニック症とパーソナリティ障害の関係~

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うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。

うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。

「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。

第32回は、「限局性恐怖症、強迫症、全般不安症」の続き、「パニック症とパーソナリティ障害の関係」をみていきます。

不意に起こる発作の恐怖…。

それを繰り返し経験すると、人格形成に影響を与え、ときに依存性や回避性。境界性のパーソナリティ障害につながることがあります。

目次

パニック発作の恐怖が人格形成に影響?

「パーソナリティ障害」は、極端に偏った考え方や行動パターンのため、家庭・社会・職業生活に支障をきたす病態です。

以前は人格障害と呼ばれていましたが、人格否定の印象を与えるという理由から、パーソナリティ障害という名称に変更されました。

パーソナリティ障害については、以前から

「性格なのか、それとも病気なのか」

という疑問がよく出されます。

しかし、性格ととらえると、治療しても治らない、素質的に固定した異常性、ということになってしまいます。

パーソナリティ障害の人は、元々そういう性格だったわけではなく、何かの挫折やつまづきがきっかけとなり、極端な性格や行動にあらわれるようになったケースが多いです。

誘因のひとつといわれているのがパニック症で、特に非定型うつ病を併発すると、病気による性格変化のため、パーソナリティ障害の病態があらわれることがあります。

パニック症でみられるパーソナリティ障害は、次のようなものです。

●依存症パーソナリティ障害

自分で選び、決定する力が身についていないため、自分ひとりでは生きていけず、何事にも人に頼ってしまうのが「依存性パーソナリティ障害」です。

過保護な親に世話をされて育った人にあらわれやすいのですが、パニック症で広場恐怖症になった人にも、このような状態がみられることがあります。

依存する相手から離れると不安が強く、何をするにも、どこへ行くにも人を頼ってしまって、一人で行動することができません。

こういうケースは、本人の闘病意識が薄く、広場恐怖症の治療もうまくいかないケースがあります。

●回避性パーソナリティ障害

傷ついたり、失敗することを恐れるあまり、人と接触したり、課題にチャレンジすること自体を避けるようになってしまうのが「回避性パーソナリティ障害」dす。

パニック症では、繰り返す発作のために、「まわ悪いことが起きる」というマイナス思考のパターンが固定化してしまうことがあります。

こうなると「どうせ失敗してしまう」「どうせ人から嫌われてしまう」といった否定的な思い込みが強くなり、それなら最初から何もしないでいる方が安全だし楽だから…と行動を回避していきます。

●境界性パーソナリティ障害

見捨てられることに強い不安を抱く気持ちが根底にあり、気分の面でも対人関係や行動の面でも、短い間にガラッと変わります。

人格の安定を欠くため、例えば対人関係でも、優しく接していたかと思えば、突然豹変して攻撃的な態度をとったりします。

衝動をコントロールできず、暴力行為に走ることもあります。

激しく変動するのが、「境界性パーソナリティ障害」の特徴です。

パニック症でも、不意に起こる発作の恐怖を体験するうちに、この世は何が起こるかわからないと考え方が刹那的になり、気分が激しく変動します。

また、発作を避けるために手段を選ばない行動をとるうちに、自己中心的になってしまうケースもあります。

こういった性格変化によって、境界線パーソナリティ障害の病態をもたらすことがあります。

パニック症が発症すると、心身の両面で人間の在り方に強く影響を与えていきます。

特に若い頃に発病し、長い間この影響を受けると、偏った人格が形成されることがあるのです。


 
次回、「その他の非定型うつ病と症状が似ている病気」へ続く


 

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