あなたは「ほめ日記」を知っていますか?
「ほめ日記」は、自分で自分をほめる日記のことで、自分の個性やクセを知り、良いものは伸ばし、マイナスなクセを修正して、自分の中に隠れている能力や感情・感性などを表面化させることができます。
あなたも「ほめ日記」で、自分の可能性を発見して、最高の人生を創造する力に繋げてみませんか?
第3回は、「『ほめ日記』の書き方とポイント」の続き、「自分を複眼で見る練習」を解説していきます。
目次
自分を複眼で見る練習
「人といい関係が作れない」
「どこへ行っても自分の居場所が見つからない」
など、現実の前に立ちすくんでしまっている方もいるのではないでしょうか。
努力はしているけれど思うようにならず、空回りが続くと、私たちの心は前向きではいられなくなってしまうものです。
本当はそんなことは全くないのに、自分を「ダメな人間だ」「生きていく価値がない」と思ったことはありませんか?
最近は、人に対する見方や価値観が特に単眼的になっているような風潮があり、勝つとか負けるとか、格差の上とか下とか、表面的に人を区別してしまう雰囲気に、私たちもいつの間にか影響されて、自分の価値を判断していないでしょうか。
効率ばかり優先することを求められ、人間性を無視するようなストレスフルな今の社会環境では、「生きづらい」と感じて、心を病んでしまう人が増えるのも当然かもしれません。
「自分が社会に受け入れてもらえていない」「社会に適合できない人間だ」などと思い始めると、「もう生きていけない」という絶望感や不安にさいなまれてしまうでしょう。
そんなネガディブな方向に流されないように、自分自身の価値を見出す方法が分かれば、もっと楽に自分らしい生き方を模索しながら、希望を持って生きていけるはずです。
「生きづらい」と思っている人の多くは、“自分を変えるための努力”を繰り返し、前に進もうとしてきたと思います。
そのたびに、うまくいかない現実を突きつけられてきたのだと思います。
「ほめ日記」は、そういう人にこそ高い効果を上げられる、“目からうろこの方法論”です。
あなたは決して「ダメな人」ではありません。
世間が単眼であなたを見るなら、あなたは自分を複眼で見る練習をして、本来のあなたが持っている良いもの、価値あるものを見つけ出しませんか?
頭で考える前に、ノートとペンを用意して、毎日が楽しくなるように、今から始めてみてください。
離婚、派遣切り…。将来の不安が吹き飛んだ「Kさん」の場合
離婚後、一人暮らしを始めたころは、何か新しいことを始められそうだという期待感がありましたが、派遣社員として働いていた会社が、派遣切りを始めてから、いつ自分にもその番が回ってくるのか…と不安な毎日を過ごしていました。
そして、そのことがきっかで、うつ症状が出始めます。
病院で処方された抗うつ剤を服用すると、一時的に不安は消えるのですが、その一方で「もう、どうでもいい…」という捨て鉢な気持ちが出てきてしまいました。
そうこうしているうちに、ついに派遣契約終了の通達がきてしまいます。
「家賃が払えなくなったらどうしよう…」
「もしかしたら孤独死してしまうかも…」
「それなら、自分で死を選ぶのも選択肢のひとつかも…」
と、インターネットで死ぬことを調べていたときに、突然、画面の下から出てきたのが「ほめ日記」でした。
「ほめ日記」について、検索して調べたKさんは、近々、「ほめ日記」を考案した筆者が近所の公民館でワークショップを開催することを知り、すぐに申し込んだのが始まりでした。
Kさんは、何かにつけて「どうせ私なんか…」と思ってしまうクセがあり、体調が悪くても、病院に行くこともなく、自分に対して投げやりで、自分を大切にするという発想はどこにもありませんでした。
しかし、「ほめ日記」を書き始めて、1週間ほどで心が落ち着き、気持ちも前向きになり、溜まっていた“やるべきこと”も整理しようという気持ちに変わってきたそうです。
毎日、欠かさず書いていると、初めは自分をほめられるような一日にしてする努力をしてそれをほめる、という毎日でしたが、3週間くらいすると、特にほめることを作ったり探したりしなくても自然と見つかるようになったそうです。
部屋の片づけひとつにしても、すぐに片づけられなくて、「もうどうにもならない」と無気力になるのではなく、「今は片づけている途中、そのうちキレイになる」と肯定的に思えて落ち込まなくなり、いつの間にか抗うつ剤も必要なくなっていたのだとか。
では、Kさんが「ほめ日記」と、「ほめ日記」を書くにあたって気をつけたポイントをご紹介します。
Kさんの「ほめ日記」一例
- 子どものころからずっと嫌いだった自分を好きになれたね。奇跡的な「ほめ日記」との出会いを信じた私のカンはすごかった!
- 人に対していとおしいと思いが湧いてきて、自分で感動している私がいとおしいね。こんな一面があったことがすごく嬉しいし、素晴らしいよ!
- 人と会うと自然に私のプラスの感情を表現しているときがある。これも新発見だ!やったね~。これから何が出てくるか楽しみだね!
などなど…。
Kさんの「ほめ日記」ポイント
思ったこともほめる!
「明日はここを掃除しよう」と思う。
日常では、こういうことをほめないと思いますが、「ほめ日記」では、ほめる対象としている項目です。
思ったことをほめることで、自分の気持ちや、やるべきことをプラスのこととして再認識します。
小さな目標でも大きな目標でも、実現させたいことに応用してみてください。
プラスの変化や内面的な気づきをほめる!
Kさんは、以前はできなかった周囲の人への気配りやプラスの感情の表現などができるようになったことなどを、プラスの変化を丁寧に観察してほめていました。
小さな変化や自己発見を見逃さずに、ほめることが大切です。
ふと思ったことを行動に移す!
Kさんは「きっと私へのメッセージだ。やってみよう」と直感したことを、すぐに行動に移したのが変革に繋がりました。
今の自分を変えたい、閉塞感から抜け出したい、と思うときは「ふと思ったこと」を行動に移すことが、そのきっかけになる場合があります。
昨日と同じことをしていては、今日もまた同じことの繰り返しです。
そのために、まず「ほめ日記」の実践から始めてみてください。
何をほめればいいのか?
できたこと、がんばったことばかりほめていると、行き詰ってしまいます。
自分をいろいろな角度から見て、ほめる点を探してみてください。
当たり前だと思えるようなことでもほめることが大切です。
【1】内面(性格や心の動きなど)をほめる!
(例)嫌なことを言われるとすぐ反発していたけど、最近はおおらかに人の話を聞けるようになったね。成長したね。
【2】行動や働きをほめる!
(例)今日はイタリア料理に挑戦!友人に美味しいと言われたよ。なかなかの腕だね!
【3】感覚や感性をほめる!
(例)春の爽やかな空気をいっぱい吸い込んで幸せを感じられるって、やわらかな感性してるね!ステキ!
【4】発想、考え方をほめる!
(例)悔いのない一生を送りたいと思っている私、前向きでいい人だね!
【5】努力していることをほめる!(結果が出ていなくてもOK)
(例)自分を好きになって、人を愛したいと「ほめ日記」を続けている私、努力してるね!
【6】過去に努力したことをほめる!
(例)テニス部にいたころ、練習本当によくがんばった。あの時のがんばりが今の力になってるよ。根性あったなぁ。えらかった!
【7】やらなかったことをほめる!
(例)毎日毎日、自分を責めていたけど、今日は気持ちを切り替えて責めなかった。すごいね!責めない私。
【8】身体の働きをほめる!
(例)好きな音楽が聴ける私の耳。キレイな景色を楽しめる私の目。本当に素晴らしい!
【9】容姿をほめる!
(例)今日はクールビスになって、久々に薄手のワンピース!なかなか似合ってるよ。ステキ!
【10】プラスの変化、内的気づき、自己発見をほめる!
(例)ひとりでいても、心安らぐ充実した時間が持てるようになったこと。大きな変化だね。進歩してる!
まずは、他の人のマネでも大丈夫!
ぜひ、Kさんの「ほめ日記」の書き方を参考に、まずはペンとノートを用意してみてください。
次回、引きこもりからの脱出!生身の感情がよみがえった、へ続く