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強迫性パーソナリティ障害とは?① ~ルールが絶対の完璧主義者!対人関係に悩む強迫性パーソナリティ障害、5つの特徴~

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前回までの記事↓
パーソナリティ障害とは?① ~生きずらさの原因は…?10種類のパーソナリティ障害とその特徴~

常に「完璧でなくてはならない」と思いがちで、ルールややり方などに固執してしまうのが「強迫性パーソナリティ障害」です。

強迫性パーソナリティ障害は、これまで紹介してきたパーソナリティ障害の中で、もっともパーソナリティ障害らしくありません。

とてもきっちりしていて、自分勝手、わがままという形容が当てはまりません。

むしろ、自分を抑え、自分に厳しすぎると言えます。

目次

強迫性パーソナリティ障害の特徴は?

強迫性パーソナリティ障害を一言であらわすと、

完璧主義で秩序や統制にとらわれ、柔軟性や開放性、効率性に乏しい

となります。

強迫性パーソナリティ障害の人は、柔軟性に欠けており、ルールや秩序を守ることに極端に固執します。

細かいことや、ルール、手順など極端にこだわります。

また、ミスをしないようにと、何度も何度も繰り返し確認をしなければ気が済みません。

そのため、本来の目的が達成されないことも少なくありません。

強迫性パーソナリティ障害は、最も多いパーソナリティ障害の一つで、アメリカの一般人口の約2~8%にみられると推定されています。

また、女性より男性に多く、20代で発症する人が多いようです。

主な特徴は、

  • 完璧主義で細かいところまでこだわるあまり、本来の目的を見失う
  • 柔軟な対応ができない
  • 自分のルールなどにこだわりが強いため、対人関係でトラブルが発生する
  • 常に自分のやり方で物事を進めたいので、他人にも自分のやり方を強いる
  • 将来に強い不安を感じているため十分な生活費があるにも関わらず、極度に節約をし質素な生活をする

など。

善と悪、正しいことと間違っていることが白黒っはっきりしていて、間違いを犯すことは「悪」という強い信念があります。

このような完璧主義のために、うつ病や心身症になりやすいのも、強迫性パーソナリティ障害の特徴です。

以下のうち、一つ以上の病気が見られます。

  • うつ病や気分変調症などの抑うつ障害
  • アルコール使用障害

仕事で困る…!

強迫性パーソナリティ障害の人は、仕事においても完璧にこなしたいため、他人に仕事を任せられません。

任せたとしても、自分のやり方通りにやりたいため、他人にも自分のやり方を強いり、他のやり方をされるといらだってしまいます。

他の価値や良い点を認めることが苦手なので、周囲からは融通がきかない人と煙たがられ、孤立してしまうこともあります。

また、ミスが発生しないことへ意識がいってしまい、締め切りまでに提出するという本来の目的を見失ってしまいがちです。

このように、強迫性パーソナリティ障害の人は、状況をみて器用に動くということは苦手ですが、責任感や正義感が強く、自分は後回しにしても、他人に対して責任を優先しようとするため、社会人としては、最も信頼できる人とも言えます。

捨てられない…!

強迫性パーソナリティ障害の人は、「捨てられない」という特徴があります。

これは、物だけではなく、人との関係、仕事や環境など全てに通じて言えることで、とにかく「捨てる」のが苦手です。

何でも取っておきたいという心の背景には、現状を変えたくないという気持ちがあるためです。

強迫性パーソナリティ障害の人にとっては、自分の周りの物、人、環境なども、自分自身の一部のように感じていて、それを失うことは自分自身の一部が失われるように感じ苦痛なのです。

窓から見える景色が変わっただけでも、うつ病の原因になることがあるため、環境が変わる引越などに対して脆いところがあります。

逆に言うと、自分から他人との関係を切ったりすることがないため、配偶者がどんな状況になろうとも、最後まで面倒をみるのがこのタイプの人の特徴といえます。

息抜きができない…!

強迫性パーソナリティ障害の人は、努力家です。

何事もパーフェクトにやらないと気が済まず、そのために常に努力し続けています。

勉強、仕事、スポーツ、遊び、恋愛、子育てなど、人間が絡むと努力が通用しない場面があっても当然なのですが、本人は努力が全てだと思っていて、うまくいかなかった原因は努力が足りなかったせいだと思い、自分を責めます。

そして、さらに楽しみのない生活を自分に強要してしまいます。

本人はそれが当たり前だと思っているため、この苦行のような毎日を周囲の人にも求めてしまいがちです。

強迫性パーソナリティ障害の人の子どもは、頑張るのが当たり前、頑張っても褒めてもらえず、追い立てられるような子供時代を過ごしがちです。

そのため、子どもは、生きることが苦しくツラいという思いから無気力になることもあります。

また、強迫性パーソナリティ障害の人は、絶えず何かしていないといられず、リラックスすることが苦手で、楽しむということができません。

計画を立てて、その通りに実行することが最善だと信じているため、どんな楽しい行事も、「計画の遂行」という色合いを帯びてしまいます。

強迫性パーソナリティ障害と強迫症との違い

強迫性パーソナリティ障害と、強迫症。

名前は似ていますが、強迫性パーソナリティ障害には、強迫症(OCD)にみられる以下の症状はありません。

強迫症には、

  • 過度の手洗いやドアの鍵かけ確認などの強迫観念(大きな不安を呼び起こす好ましくない考え方、イメージが繰り返し割り込んでくる)
  • 強迫行為(強迫観念をコントロールするために行わなければならないと感じる儀式)

などの症状がありますが、強迫性パーソナリティ障害の人には、上記のような症状はみられません。

また、強迫症の人は、強迫行為を抑えられないことを苦痛に感じますが、強迫性パーソナリティ障害の人は、強迫的な行動は、秩序、完璧主義、コントロールなど自分の目標を達成するために必要だと考えているため、その行動に自ら満足しているところがあります。

強迫性パーソナリティ障害の特徴まとめ

強迫性パーソナリティ障害の人は、自分のやり方どおりに物事を進めたい完璧主義者です。

規則やルールを厳密に守ることを徹底し、効率の良い方法や例外などを認めることができません。

そのこだわりのため、周囲の人とトラブルになることも少なくありません。


参考:
パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか, 岡田尊司, PHP研究所,2004/5/31
強迫性パーソナリティ障害(OCPD),MSD マニュアル家庭版

 

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