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非定型うつ病ってどんな病気?【38】~パニック症の治療 ① 薬物療法~

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うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。

うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。

「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。

第38回は、「非定型うつ病の治療 ② 精神療法」の続き、「パニック症の治療 ① 薬物療法」をみていきます。

目次

パニック症の治療 ① 薬物療法

パニック症には薬がよく効きます。

これは治療する上ではとても有利なことです。

発作がおさまっても服用は続ける必要があり、自己判断はせずに医師の指示に従うことが大切です。

非定型うつ病の薬物療法は、まだ開発段階と言えますが、パニック症には有効な薬があり、2008年には日本独自「治療ガイドライン」が作られています。

処方する薬の種類や量は、患者さんの状態に合わせて調整する必要がありますが、ベースとなる治療法が確立されてきています。

ここでは、パニック症の薬物療法の役割と、治療の流れをみていきます。

パニック症にとって薬が重要な理由

●発作がコントロールできる

パニック症の治療のポイントは、まずできるだけ早く完全にパニック発作を消失させることです。

パニック症は、パニック発作の恐怖や苦しみを経験することで不安が高まり、その不安が次の発作を誘発して、ますます悪化していく病気です。

つまり、患者さんがパニック発作の不安感を繰り返し経験しないようにすることが非常に重要なのです。

パニック発作は、薬によって完全にコントロールできるため、薬物療法が最適なのです。(一部例外があります)

●簡単には興奮しなくなる

脳の神経細胞は、元々は一定レベルの刺激が加わらないと反応しないようにできています。

しかし、発作によって興奮を繰り返していると、刺激がそんなに強くなくても興奮するようになります。

脳がいった誤作動を起こすと、それがクセになり次々と誤作動を起こすようになってしまいます。

反対に鎮静状態を保つと、刺激に対して抵抗力がつき、簡単には興奮しなくなります。

薬によって誤作動を抑え、発作を起こさないようにして、神経が鎮まった状態を持続させれば、興奮しやすい体質を変える効果も期待できます。

●「次の発作」を予防できる

パニック発作は、場所や時間を選ばす発症するため、薬物療法で24時間つねに発作が起こらない状態にすることが大切です。

そのためには、発作が起きたときだけ薬を服用しても、ほとんど意味がありません。

次の発作が起こらないよう予防するには、続けて服用する必要があります。

また、薬には不安感を消す働きもあります。

パニック症では、

  • 胸が重いだけ
  • 少しドキドキする
  • 軽いめまいや動揺感がある
  • そわそわ落ち着かない

といった、発作ともいえないような状態でも不安は伴います。

この不安が続く限り、病気に対するこだわりは消えず、広場恐怖症やうつ病が悪化して慢性化していきます。

そのため、発作がなくなっても、薬は十分な量を(症状にもよりますが)1年くらいはしっかり服用した方がよいのです。

薬の量は、病気の状態に応じて徐々に減らしていくことができます。

薬物療法はどのくらい続けるのか

パニック症の薬は脳に作用する薬のため、脳に影響があるのではないか、中毒になるのではないかと心配する人がいます。

さらに、症状が軽くなったから、自己判断で薬の服用を途中でやめてしまう場合も出てきます。

しかしパニック症の治療に薬は必須です。

脳への悪影響や中毒には全く心配することはなく、逆に途中でやめてしまうことの方が害は大きいのです。

それまで服用していた薬を突然中止すると、病気が再発しやすくなったり、それまで服用していた量ではコントロールできなくなる、といったことがしばしば起こります。

パニック症は頑固な慢性病で。ちょっとした不安や軽い身体症状があるだけでも、広場恐怖症やうつ病に発展したり、残遺症状が固定して一生続く病気になるおそれがあります。

薬物療法は、できるだけ早期にはじめ、きちんと服用して、徹底的に治しきることが大切なのです。

●風薬は段階をおって進める

病気のレベルによっても異なりますが、中等度以上の患者さんには段階をおって薬物療法を進めていきます。

★2週間から2か月…最初のステップ。パニック発作をコントロールし、発作が出ないことを目的に投薬を集中します。

★1か月から3か月…次のステップ。発作の再燃や残遺症状をコントロールしながら、症状や薬の効きめ、副作用の状態などを観察し、なるべく少ない副作用で最大の効果があらわれる服薬量を探るための調整期間です。

★半年から1年…症状が完全に消えたことを確認しながら、維持療法として服薬を続けます。

★3年から5年…段階的に薬の量を減らし、最後は飲まなくても済むゼロの状態(断薬)にまでもっていきます。

断薬は、薬が減ってきたことに体が気づかないように、少しずつ時間をかけて進めていきます。

やめるときも、いきなりではなく、飲んだり飲まなかったりして、その後完全に断薬します。

この間、少しでも症状がぶり返してくるようであれば、服薬量を再び増やします。

なお、断薬は患者さんが自分だけで行うと、ほとんど失敗します。

自分の症状を客観的にみることができないためです。

断薬は、薬の作用や特性、強度、持続期間に精通した専門医でなければできないことなので、必ず医師の指示の元ですすめるようにしましょう。


 
次回、「パニック症の治療 ② 治療に使われる薬」へ続く


 

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