うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
第7回は、「非定型うつ病の症状 ③ 鉛様麻痺」の続き、「非定型うつ病の症状 ④ 拒絶過敏症」をみていきます。
目次
非定型うつ病の症状 ④ 拒絶過敏症
周囲の目を気にする心が極端な反応に
非定型うつ病の患者さんには「マイペース」な人は少ないようです。
自分は自分、他人は他人、と割り切ることができず、いつも「周囲の人の目を気にしながら」生きてきたように見えます。
「他人の顔色をうかがう」傾向があり、それが病気によってより極端になった状態が「拒絶過敏症」(対人関係における拒絶に対する過敏症)と考えられます。
拒絶過敏症とは、他人の侮辱的な言葉や軽視、批判に対して極端に敏感になり、普通では考えられないほど激しく反応する症状です。
そのもとには、
- 対人恐怖(自分の外見や能力を低く見積もられることへの恐怖)
- プライドの高い性格(他人の目を気にする自己愛性)
が存在すると考えられています。
社会生活をおびやかす重大な症状
侮辱、軽視、批判といっても、そう思っているのはあくまでも本人だけがそう解釈しているのであって、実際のところは何でもないささいなことが多いです。
そのささいなことを、自分のことを拒否したり否定的にとらえ、被害妄想的に受け止めて病的に反応してしまいます。
具体的には、
- 過剰に落ち込んで職場や学校を休んで引きこもる
- 傷つくことを恐れて友人や恋人を作らなくなる
などの形をとることもあります。
また、攻撃に転じて、相手とケンカや口論を引き起こしたり、絶好状態になったりすることもあります。
その対象になるのは、主に患者さんの周囲にいる、職場の同僚や上司、家族、恋人、恋人たちです。
本来なら味方である人たちとギクシャクするので、人間関係をそこねることになりますし、場合によっては社会生活にも支障が出てきます。
拒絶過敏症の症状が強い患者さんは、社会復帰までに何年もかかることがあります。
拒否過敏症はこんな形であらわれる
次回、「非定型うつ病の症状 ⑤ 不安・抑うつ発作」へ続く