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非定型うつ病ってどんな病気?【2】~“定型うつ病”と“非定型うつ病”はどこがどう違うのか?~

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うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。

うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。

「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。

第2回は、「最近明らかになったニュータイプ『非定型うつ病』」の続き、「“定型うつ病”と“非定型うつ病”はどこがどう違うのか?」を見ていきます。

目次

“定型うつ病”と“非定型うつ病”はどこがどう違うのか?

症状によっては正反対のあらわれ方をする「非定型うつ病」

抑うつ障害群は、DSM-5による診断基準の〈うつ病(DSM-5)/大うつ病性障害エピソード〉の症状が、5つ以上あるかどうかで診断します。

診断基準 うつ病(DSM-5)/大うつ病性朱鴎外エピソード

(1) 一日の大部分の時間、毎日のように気分が憂うつ(悲しい、空虚な感じ、涙もろい表情、小児や思春期は怒りやすい)

(2) 一日の大部分の時間、毎日のように何に対しても興味・喜びを感じない
(3) 体重の5%以上の草原が1か月間にある。またはほとんど毎日食欲がないか、逆に亢進している
(4) ほとんど毎日、眠れない、または寝すぎる
(5) ほとんど毎日、イライラしてる、または何もやる気がない
(6) ほとんど毎日、疲れやすい、または気力がない
(7) 自分に価値がないと感じたり、悪いことをしたと思う
(8) 集中力や思考力が落ちている、決断できない
(9) 死ぬことをしばしば考えたり、その計画を考える

・上記の症状のうち、5つ以上が同時に、2週間の間にあり、患者にとって異常につらいか、日常生活に支障が出ている。5つのうち(1)または(2)が必ず含まれる
・症状はアルコールや薬物中毒、内科の病気によるものではない
・愛する人を失ったあと、2カ月以内であれば離別反応と考え、うつ病(DSM-5)/おおうつ病性障害エピソードとは判断しない


 
(1) と(2)は、基本症状で1つ以上。

(3) から(9)は、随伴症状で3つ以上あり、全部で5つ以上ある場合に、抑うつ障害と診断されます。

基本症状と随伴症状を合わせても、症状が2つから4つまでの場合には、「小うつ病」とする場合もあります。

この診断基準の症状にしたがい、「定型うつ病」と「非定型うつ病」では、どのような違いがあるのかをみていきます。

●基本症状

うつ病の基本症状は、第一に「気分の落ち込み」です。

うつ病が「気分障害」といわれるゆえんです。

定型うつ病の場合、ずっと落ち込んだ気分のまま低空飛行が続きます。

しかし、非定型うつ病では、度を越して気分が浮き沈みしてアップダウンが激しいのです。

もう一つの基本症状である「物事に興味や関心がなく喜びを感じることができない」状態は、定型うつ病の特徴です。

非定型うつ病の場合は、好ましいことや嬉しいことがあると、気分が晴れてスッキリします。

この違いは、非定型うつ病の特徴である「気分反応性」によるものです。(※気分反応性については、次回で詳しく解説します)

●1か月で体重の5%以上痩せるか太る。または毎日食欲がないか、反対に過食になる

定型うつ病では、食欲がなくなり痩せることが多いですが、非定型うつ病の場合、痩せることはまれです。

非定型うつ病は、多くの場合、食欲が増してむちゃ食いし、特に甘いものが欲しくなった結果、体重が増えます。

●ほとんど毎日、眠れない、または寝すぎる

定型うつ病では、初期は朝早くに目が覚め、病気が進むについて、眠れない、熟睡できない、寝ても途中で目が覚める、ということが起こり、眠りが足りない状態になります。

非定型うつ病の場合は、「寝すぎ(過眠)」になります。

※過眠とは、1日10時間以上眠る日が3日以上ある状態。

●ほとんど毎日、イライラしている、または何もやる気がない

この症状は、自覚症状ではなく、周囲から客観的にみた時に認められる症状です。

定型うつ病では、何もやる気が起こらなくなります。

例えるなら、油がきれて滑りが悪くなった車輪のように、行動がのろく、弱く、活気がなくなります。

理由もなくイライラするのは、非定型うつ病によくみられます。

●ほとんど毎日、疲れやすい、または気力がない

疲労感は、定型・非定型にもありますが、定型うつ病の場合は、だるさや倦怠感が強くなります。

非定型うつ病では、初期から強い疲労感を訴えます。

疲労は体の疲れですが、最終的には脳が感じとるため、そこから気力がないといった形で疲労感が表現されるようになります。

非定型うつ病では、単なる疲労感を超えて、手足が鉛のように重く感じるようになります。(※鉛様麻痺)

●自分には価値がないと感じたり、悪いことをしたと思う

非定型うつ病の人は、周囲に迷惑をかけているという意識をしばしば持ちますが、これは日常近くで接している人なら了解できるレベルのものです。

定型うつ病の人は、世間や神様に顔向けできない、といった不適切かつ過剰な自責感を持ち、妄想とも言えるほどになることがあります。

●思考力や集中力が落ちている、決断できない

定型うつ病、非定型うつ病、ともにみられる症状ですが、非定型うつ病の場合、不安・抑うつ発作の時を除けば、病期が中程度に進んでからあらわれます。

●死んでしまいたいと思う

定型うつ病の人の希死念慮(死にたいと思うこと)は深刻で、この世から自分をなくしたい、いなくなってしまいたいと考え、実際病気が進むと準備したり実行したりします。

非定型うつ病の人も「死んでしまいたい」とよく口にはしますが、それほどつらいと訴え、助けを求めていると周囲が考える必要があります。

状況によっては、深刻に死を考えている場合もあるので、慎重に判断することが大切です。

「非定型うつ病」と「定型うつ病」の違い

非定型うつ病には、いわゆるうつ病(定型うつ病)とは正反対のようにみえる特徴があります。

まずは定型うつ病と非定型うつ病の、おおまかな違いをみていきましょう。

非定型うつ病

気分

・集中力が散漫になる
・好きなことや良いことがあると気分が良くなって明るくなり、悪いことがあると強く落ち込む(気分反応性)
・普通ならなんでもないこと、ささいなことで強く悩む
・他罰的(思い通りにならないと自分以外の他人や状況のせいにしようとする)になりやすい
・イライラしたり怒りっぽくなる

睡眠

・1日10時間以上寝る(ベッドに横になる)。過眠になる。ただし眠りは浅い。
・いくら寝ても眠い

食欲・体重

・過食が多くなる
・特に甘いものへの欲求が強くなる
・体重は増えることが多い

気分の変動

・夕方から夜にかけて憂うつになる
・夜、ひとりで泣くことがある
・「夕暮れうつ病」とも言う

基本的な心

・過敏。他人の顔色をうかがう傾向が強い。

その他

・疲労感が強く、手足が鉛のように重くなる
・性欲が亢進することがある
・体調や気分のアップダウンが大きい
・病気と気づかれにくい
・わがままと誤解されやすい

定型うつ病

気分

・集中力がなくぼーっとする
・何事にも興味ややる気を失い、常に落ち込み、好きな趣味もできなくなる
・周囲に迷惑をかけていると自分を責める、自責の念が強い

睡眠

・なかなか眠れない(入眠障害)、眠っても夜中に目が覚めて眠れなくなる(中途覚醒)ことが多い
・朝早く目が覚めてしまう
・睡眠不足になる

食欲・体重

・食欲が低下する
・体重は減ることが多い

気分の変動

(中等度まで)
・朝から午前中にかけて、もっとも憂うつになる
・一日憂うつだが夕方になると少しは良くなる
・「朝型うつ病」とも言う。

基本的な心

・他人に配慮する。自責感を持ちやすい

その他

・全身の倦怠感がしばしば起こる
・性欲がなくなる
・体調は気分の波は少なく、ずっと低迷する
・周囲にも具合が悪いことが分かる


 
次回、「非定期うつ病になっていませんか?あなたの心の健康度をチェック!」へ続く


 

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