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自己愛性パーソナリティ障害とは?② ~発症には親や幼少期の愛情不足が関係している?原因と治療法~

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前回の記事↓
自己愛性パーソナリティ障害とは?① ~自分優先!自己愛が強すぎて自分のことしか考えられない自己愛性パーソナリティ障害、その特徴と2つのタイプ~

自己愛が強すぎるために、職場や家庭内でトラブルが相次いでしまう「統合失調型パーソナリティ障害」

発症の原因は一体何なのでしょうか?

目次

自己愛性パーソナリティ障害の原因は?

自己愛性パーソナリティ障害が発症する原因は、まだはっきりとは分かっていませんが、主に幼少期の生育関係が関係しているのではないかと考えられています。

幼少期の生育環境

パーソナリティ障害では、多くの場合、幼少期の環境が関係していると考えられています。

  • 幼少期に親からの愛情を十分に受けられなかった(過度に批判されたなど)
  • 親から受けた愛情が歪んでいた(過度に賞賛・称揚・甘やかされたなど)

上記のようなことがきっかけで、パーソナリティ障害を発症してしまうようです。

前回、自己愛性パーソナリティ障害の症状を、2つのタイプに分けました。

「自分は特別な存在」タイプ

自分には才能がある、自分は特別だと思いこみ、それに伴った言動をとる。

自分のことしか考えられず、相手の気持ちは全く気にしない。

「理想と現実のギャップに悩む」タイプ

高い理想を持っていて、その理想と現実の自分とのギャップに落ち込むタイプ。

自分には才能があると常に思っているが、周りの評価に非常に敏感で、傷つきやすい。


どちらのタイプも、幼少期に親から十分な愛情を受けられなかった、歪んだ愛情を受けた、などが原因のようです。

自分を守るために、自分を特別な存在とした言動をとったり、自分に自信が持てないがために落ち込んでしまったりするのです。

自己否定による落ち込みを避けるため、誇大な自信を振りかざす「自己愛過型防衛」で、自分を守っています。

その他に、遺伝的要素や、元々の性格も関係していると考えられています。

自己愛性パーソナリティ障害の治療法は?

パーソナリティ障害の人の多くは、自分が病気だという自覚がありません。

そのため、自分から治療を受けにくる、治療を受けることが難しいところがあります。

しかし、治らない病気ではありません。

治療を受けることで、社会生活もより良いものになります。

自己愛性パーソナリティ障害の治療は、主に精神療法薬物療法の2つです。

精神療法

精神療法では、患者さんの認知の仕方や、行動パターンの偏りなどを少しずつ改善していきます。

ここで大切なのは、本人が治療の意識を持っていること医師との信頼関係が築けていることです。

メンタライゼーションに基づく治療

この治療では、患者さんが自分の心の状態(自分が何を感じ、その理由は何か)や、他者の心の状態について考えて、理解することを支援します。

患者さんが共感や思いやりをもって他者と関わるのに役立ち、他者も患者さんを理解し、支援するのにも役に立ちます。

転移焦点化精神療法

患者さんと精神療法家の交流に重点を置いた精神療法です。

精神療法家が質問を行い、患者さんの歪んだ、非現実的な自己像とさまざまな状況に対する反応を検討できるよう支援します。

認知行動療法

患者さんが自分の考え方の歪みを認識し、その歪みから発生する異常な行動を消すことができるように支援します。

患者さんの賞賛への欲求を、精神療法家が行動を方向づけられることがあります。

薬物療法

強い不安緊張を感じた時に、抗うつ剤抗不安薬などを服用することがあります。

ただし、薬物療法は精神症状を和らげるものであり、自己愛性パーソナリティ障害を根本から治療できるものではありません。

周囲の人の対応

自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分の都合が何よりも優先されて当然だと思っているため、周囲の人の迷惑などお構いなしのところがあります。

また、自分が絶対に正しいと思っているため、自分を省みることがとても難しいです。

自己愛性パーソナリティ障害の人と、うまくやっていく秘訣としては、まず相手の嫌な部分を問題にせず、ひとまず賞賛する側に徹します。

そうすると、自分の中の素晴らしい部分を、他人のあなたにも投影して、自分の素晴らしさが分かる人物として認識されます。

その人が素晴らしい自分を映し出す鏡のような存在になると、次第にその人の言葉に特別な重みを持つようになります。

自己愛性パーソナリティ障害の人は、基本的に小心で嫉妬深く、負けん気が強いので、不安や嫉妬心、功名心を刺激すると、言動への有効な動機付けとなります。

自己愛性パーソナリティ障害の人の克服ポイント

自己愛性パーソナリティ障害の人が最も苦手なのが、謙虚に人の言葉や教えを聞くことです。

しかし、耳の痛いことを言ってくれる人を大切にすることは、欠点を克服して、大成することにも繋がります。

自分を絶対視するあまりに、世界や視野が狭くなりがちですが、それでは、せっかくの能力や才能を埋もれさせてしまいます。

他人や違う世界から貪欲に学び続けることが、大きく育つコツです。

また、自己愛性パーソナリティ障害の人は、集団で協力して何かをすることが苦手です。

集団で協力する場でも、孤立的、自己中心的な振る舞いが多くなりがちです。

障害を克服するには、チームプレーが必要とされるスポーツや活動に携わることと言えます。

チームプレーは、自分のプレーや活動が、チーム全体にどれだけ貢献したかに価値が見出されます。

自分が犠牲になり、チームメイトをアシストすることに、徐々に喜びを見出すようになり、協調的な人間へと変えていくようにしてみましょう。

自己愛性パーソナリティ障害の原因と治療法まとめ

自己愛性パーソナリティ障害の主な原因は、幼少期の親からの愛情不足が考えられます。

愛情が十分にもらえなかったため、自分に自信が持てなくなってしまうのです。

治療法としては、精神療法が効果的で、考え方の偏りを少しずつ改善していきます。

薬物療法も用いられますが、直接的に自己愛性パーソナリティ障害の治療に繋がるわけではないので、精神療法と併用して行っていきましょう。


参考:
・パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか, 岡田尊司, PHP研究所,2004/5/31
・自己愛性パーソナリティ障害,MSDマニュアル家庭版

 

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