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解離性障害とは?① ~自分のことなのに記憶がない…自分の感覚がなくなる解離性障害、その症状と特徴~

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人は誰でも、記憶や知覚、意識を統一するのに小さな問題が生じることがあります。

例えば…

あなたはある日、友人と食事に出かけました。

そして、あとになってどんな様子だったか覚えていないのに気づきます。

それは、心配事にとらわれていたせいか、食事の美味しさに夢中になっていたせいで、思いだせないだけかもしれません。

このような状態は、正常解離といい、通常は日常生活に混乱を生じることはありません。

しかし、数分間、数時間、長時間にわたって自分が行った行動を完全に忘れてしまうことがあります。

さらに、自分が誰なのか理解できなくなったり、自分の記憶、知覚、思考、感情、行動、身体などのイメージが自分から切り離されていると感じられることがあります。

これらの状態を解離と言い、そのせいで日常生活に支障をきたすようになった状態を「解離性障害」と呼びます。

今回はそんな、「解離性障害」について詳しくみていきます。

目次

解離性障害とは?

解離性障害とは、簡単に言うと、

「自分が自分である」という感覚が失われた状態のこと。
一時的に記憶がなくなったり、感覚がマヒした状態になります。

別の人格が現れる多重人格障害などは代表的なものです。

「自分の感覚がない」というのは、一時的なものであれば健康な人にも起こりうるものです。

ですが、症状が長期的なものであったり、深刻になって日常生活に支障が出てくると、それは解離性障害と言えるでしょう。

解離性障害の主な症状

1.解離性健忘

解離性健忘とは、

心の傷やストレスによって引き起こされる記憶喪失(健忘)のこと。
自分にとって重要な情報が思い出せなくなります。

その多くは、数日で記憶が戻りますが、長期に及ぶ場合もあります。

また、解離性健忘は若い女性に多いと言われています。

解離性健忘には、いくつかのタイプがあります。

  • 限局性健忘
    …限定的な期間の出来事や、特定の期間を思い出せない状態。
  • 全般性健忘
    …過去の経験や習得した技術、その他の情報など一切の記憶を失った状態。
  • 選択的健忘
    …自分が思い出したくない嫌な出来事や、一定期間の特定の出来事の記憶を失った状態。
  • 極限性健忘
    …数時間~数日くらいの短期間、記憶を失った状態。
  • 持続性健忘
    …新しい出来事が生じるたびにその出来事の記憶を忘れてしまう状態。

全般性健忘はまれで、戦闘を経験した退役軍人や性的暴行の被害者など、極度なストレス・葛藤を経験した人で比較的多くみられ、突然発症します。

2.解離性とん走

解離性とん走とは、

過去の一部、または全ての記憶を失い、家族や仕事を残して突然失踪してしまう状態。

解離性とん走の持続時間は、数時間のときもあれば数ヶ月、さらに長期間にわたる場合もあります。

とん走期間が短いと、職場に遅刻したり、帰宅が遅くなったりするだけにみえます。

とん走が数日以上続く場合は、自宅から遠く離れた土地で新しい仕事を始めることもあります。

このように、職場や学校、家庭内の強いストレスから逃れて、新しい生活を始めることもありますが、本人にとん走の記憶はありません。

3.カタレプシー

体が硬くなって、動かなくなってしまう状態。

4.解離性昏迷

解離性昏迷とは、

意識はあるのに、光や音などに対する反応が弱くなったり、欠如してしまう状態。
長い時間、ほとんど動かず、言葉を発することもほとんどありません。

解離性昏迷は、心が耐えられないほどのショックや大きな絶望を感じたときに起きる、解離性障害の一種です。

きっかけは、大災害や大切な人の突然死など、人によって異なります。

また、検査を受けても身体的・精神的な問題は見当たりません。

5.離人症・現実感消失症

離人症とは、

自分が自分であるという感覚がなくなり、自分自身を遠くから眺めているような感じがする状態のこと。

現実感消失症とは、

自分が外界から切り離されているように感じること。

離人症・現実感消失症は、強いストレス、特に小児期の虐待やネグレクト、DVを目撃したり、愛する人が突然亡くなった、などが引き金になって発症すると言われています。

その持続期間は、ほんの数時間の場合もあれば、数日、数週間、数ヶ月、数年にわたる場合もあり、悪化と軽減を繰り返します。

離人症の症状、

  • 自分の体、精神、感情、感覚などから自分が切り離されているような感じ

現実感消失症の症状、

  • 外界(人、物、あらゆること)から切り離されているように感じられ、外界のことが現実ではないように思える

これらの症状のために、大きな苦痛を感じていて、日常生活にも支障が出ている場合、精神障害とみなされます。

6.解離性同一性障害

いわゆる多重人格障害と呼ばれている精神障害のことです。

解離性同一性障害とは、

複数の人格が同一人物の中に、コントロールされた状態で交代してあらわれる状態のこと。
日々の出来事や個人情報、トラウマになった出来事などの記憶を思い出すことができません。

アメリカ、カナダ、欧州では、解離性同一性障害をもつ人の約90%が小児期にひどい虐待やネグレクトを受けていたと言われています。

解離性同一性障害は、憑依型非憑依型の2つのタイプがあります。

  • 憑依型
    …別の人格の存在が家族や第三者にも明白に分かる状態。普段とは明らかに違う言動がみられ、別の人間や存在が乗り移っているようにみえます。
  • 非憑依型
    …傍目から見て別の人格の存在はみられないが、自分の会話や感情、行動を別の誰かを見ているかのように感じる状態(離人感)。

解離性同一性障害の人は、重度の頭痛、気分の落ち込み、不安、自傷行為などがみられることもあります。

7.子ども時代にみられる解離現象

小さい子どもが“見えない友達”と話をしている、というのを聞いたことはありませんか?

これは、子どもが自らをストレスから守ったり、人との繋がりを求めているときに現れるといわれています。

成長とともに“見えない友達”は、消えていくと言われていますが、大人になって再び現れることもあるようです。

その場合、強いストレスを抱えている可能性があるため治療が必要になってくることもあります。

解離性障害の症状まとめ

ひと口に「解離性障害」と言ってもさまざまな種類があります。

共通している点は、自分自身をコントロール出来ないという点です。

自分自身をコントロール出来ないということは、状況によってはかなり危険な可能性もあります。

解離性障害かも…と不安に感じることばあれば、精神科や心療内科などの専門医療機関で相談してみましょう。


参考:
MSDマニュアル家庭版,解離症の概要, David Spiegel, 2017年 7月

 

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